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定志丸(《備急千金要方》)

[組成]人参・茯苓90 菖蒲・遠志60
[用法]四味為末,蜜丸,毎日服三次,毎次服6g。散剤も亦佳し。
[主治]
1.憂愁悲傷して楽しまず,眩暈,舌質淡嫩,舌苔薄白,脈象虚弱。
1.心気虚損,語るに倫次(一貫性)なし。
3.茯苓、菖蒲を重用すれば,開心散と名づけ,好忘(健忘)を治す。
[証析]悲傷して楽しまず,語るに倫次なく,眩暈,好忘,が本方の主証なり;心気虚損して,虚中に湿を夾む,のが此の証の病機なり;舌淡、苔白、脈弱,が心気不足と辨証する根拠である。
心は神明を主り,心気虚損すれば,神は気の温を失い,湿濁が上阻し,神は蒙となり,語るに倫次が無く,神志異常となる。
《素問,調経論》に謂う:"神が不足すれば悲しむ。"憂傷して楽しまず,はまた心気不足の然らしむるところなり。
眩暈は虚実に分けられる,虚証は心気不足に因り,心動は無力で,気は脈を束ねず,脈道が松弛し,血は脳を上栄せず;実証は痰飲水湿が清空を蔽阻するに因る。
此の証は純虚に非ず,また純実にも非らず,虚実夾雑なり。
好忘は濁陰が元神を蔽阻するに由り,脳が陽気の温煦を失うためである。
上述の諸証はみな心神の病変で,臓腑辨証して定位すれば,病は心系の脳外包膜に在る;有虚的一面,也有実的一面,八綱及び気血津液の辨証にて定性すれば,心気虚損,湿濁蔽阻という虚中夾湿である。
何を以って夾湿と分かるか?
苔白を兼ねるので分かる。
[病機]心気虚損,湿濁阻滞。
[治法]補心安神,開心益智法。
[方義]心気不足,虚中夾湿なら,法は補気強心して其の心気虚損を治し,祛痰化湿して其の清竅壅蔽を開くべし。
故に方用の人参は大補元気するが,補気とは即ち強心である,心強となれば自ら能く血液を鼓動して上栄する,脳が陽気の温煦と陰血の滋栄を得ておれば, 眩暈が除かれないとか,智力が復しないとか,神志が安寧でないとか心配する必要が無い,此れは心気虚損のために設けられている。
遠志は祛痰泄濁し,菖蒲は化湿開竅し,茯苓は淡滲利水する,痰湿を化して無くすれば阻竅はせず,下行して上僭もしない,そうすれば湿濁の患などにはならない,此れは痰濁上蒙のために設けられている。
四薬を同用すれば能く補虚安神、開心益智の功効を呈する。
此の方を学習するに当たり注意すべき2点:
一つは虚中夾湿の証であり,純補の方に非ざること:
一般の方書には単に心気虚損と分析し,人参、茯苓の補虚作用のみを強調している;
遠志、菖蒲は多くは開心益智の解釈がされている。
遠志、菖蒲がどうして開心益智できるのか,未だ詳細な分析はありません。
只分かるのは一切の疾病の基本病理は各種の病因が五臓の功能障碍を引き起したか或いは虧損したかであり,みな気血津精が虧損したか或いは運行不利になったもので,明らかに此の証には心気不足の病理もあり,津凝という湿の病理もあり,たった一味薬の作用で出来ることではない。
二つは虚実には偏りがあるから,薬量は証に随って変える:此の方は元は証情偏虚の者に設けられていた,故に人参、茯苓の用量は遠志、菖蒲より大きい;若し湿濁阻竅,証情偏実の善忘に用いるなら,茯苓、菖蒲の用量は人参、遠志より大きいほうが宜しい。
開心散は茯苓二両,菖蒲一両,遠志を用い、人参は僅かに四分しか用いない。
薬量が変れば,作用も変わる,治法は証変に随うのは,当然である。
[応用]神志異常は,善忘に舌淡、苔白、脈虚を兼ねているのが辨証要点で;眩暈は血圧偏低で湿濁阻滞を兼ねているのが適応症である。
   『中医治法與方剤』(陳潮祖)より
※認知症に使えそう。

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