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益気通便湯(宋興方)

[組成]人参・升麻・柴胡・当帰・陳皮10 黄芪30 白朮20 炙甘草5 益母草20〜30
[用法]水煎服。
[主治]脾虚気弱,伝導無力,便秘,兼見心悸少気,肢軟無力,舌淡不胖,脈緩而弱。
[証析]便秘証といえば,初学者は只 瀉下、潤腸を知るのみであるが,便秘を形成する機理には四つある:
一つは熱病傷陰,或いは素体陽旺で,水津虧損するもの;
二つは腎陽不足で,気化失常し,水津不布のもの;
三つは肺失宣降,脾失升降,肝失疏調,三焦気滞で,水津が気に随って腸に敷布しないもの;
四つは中気虚損で,胃腸の伝導が無力のもの。
瀉下、潤腸の二法は水津虧損のものに設定されており,其の他の機理による便秘には,無効であるばかりか,瀉すほどにいよいよ虚し,潤すほどにいよいよ壅塞する,医理に暗いと,誠に悲しいことだ。
此の方の所治は,中気虚損に属し,伝導無力が機理であり,年老人に最も常見される。
年老気衰から,胃腸の伝導が無力化し,便秘となる。
辨証点は三つある:
年齢が還暦を越えて便秘するのが其の一;
心悸気短や,四肢無力を兼ねている,此れが其の二;
舌質が淡で痩せており,陽気があって気化しているのだが,水津が布敷されないので,中気虚損である,此れが其の三。
此の三点があれば辨証の根拠となる,中気虚損が,伝導無力をもたらしているのだ。
[病機]中気虚損,伝導無力。
[治法]益気通便法。
[方義]此の証は気虚に因って伝導無力となったのだから,補中益気しなければならない,気旺となれば伝導は復常する。
此の方は補中益気湯加益母草である。
補中益気湯に平滑肌の蠕動を促進する※益母草を加入して, 両方向から配方した,巧妙な構成である。
 余の妹の継美は,年は70歳過ぎ,便秘である,補中益気湯を処方に書いてやった,初めは有効だったが,すぐに又便秘になった。
たまたま帰省したので,代わりの人に代診を頼んでおいたら,彼は原方に益母草を一味加えたら再び大便が通調した。
其の后は此のような証に遇ったら, 皆これを投じて有効である。
[応用]気虚による伝導無力の便秘に用いる。
   『中医治法與方剤』(陳潮祖)より
※《本草正義》:益母草の性は滑利,善く女人の胎産の諸証を調える,故に益母の号がある。滑利の性を用いるのであり,補益の功を求めるのではない。

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