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蒿芩清胆湯(《通俗傷寒論》)

私の妻が昭和46年に罹った急性腎盂腎炎については悔恨の念と共に記憶に強く残っています。
マラリヤ(瘧状)の如き悪寒と高熱の繰り返しや高熱期や、その後も長引いた微熱と食欲不振に対して、私自身は何も出来なかったし係り医も殆ど何もしてくれなかった記憶です。
この度は『中医治法與方剤』(陳潮祖)を読み進む中でまた新しい発見がありました。
それがこの蒿芩清胆湯です。
[組成]青蒿15〜30 黄芩・竹茹・半夏10〜15 青黛・枳実・陳皮10 茯苓15 滑石20 甘草5
[主治]少陽の三焦に湿(痰)熱があり,寒熱は瘧の如く,熱重く寒軽し,胸脇脹痛し,口苦く酸苦水を吐く,或いは黄涎を嘔吐して黏る,或いは干嘔、呃逆があり,舌紅く苔白か或いは黄膩,脈弦数者。
また眩暈、黄疸、湿熱盗汗、神志不清、心悸、失眠、咳嗽、咳血、熱淋、痔瘡下血等の証を治す。
[証析]此れは少陽三焦の湿熱 或いは痰熱の証である。
此の機理を形成する原因は,邪が皮毛を犯し,表より裏に及んだか;或いは邪が口から入り,腸胃が病み,裏から外へ達したか;或いは邪を上に受け,上から下へ来たか;或いは邪が尿路から侵入し,下から上へと,三焦に影響し水道が失調し,陽気と湿濁の停滞により,気鬱化熱し,遂に少陽三焦の湿熱または痰熱の患を呈したものである。
湿熱が少陽三焦を阻めば,寒熱は瘧の如く;熱邪は偏盛となる,故に熱重く寒軽し。
胆熱が胃に乗ずると,胃濁が上逆し,酸苦水を嘔吐き、湿熱が熏蒸するので舌苔は膩となる。
病勢が肝に及ぶと眩暈や湿熱盗汗となる。
[病機]三焦湿熱。
[治法]清熱除湿,上下分消法。
[方義]葉天士《温熱経緯,外感温熱篇》は温邪が三焦に留まり,水液が失調すると,湿熱を呈すると云っている。
傷寒の少陽病なら,傷寒の邪が表から入り,少陽に留まるので,表裏の半ばを和解する法となる。
温邪の場合は少陽三焦の湿熱だから,寒凉を過用して陽気を損なってはならない,温胆湯の走泄の作用で,気機を展くのがよい。
此の方は温胆湯加味から成り,清熱除湿,上下分消の法である。
方中の黄芩、青黛、竹茹は肝胆の熱を清泄し,青蒿は少陽の邪を清透し,熱を外出する,四薬は清熱透邪し,上清の法となる。
陳皮は芳化湿濁,半夏は燥湿祛痰,二薬は脾運を恢復し,調中の法となる。
茯苓、滑石は淡滲利湿し,二薬は湿熱を引導して下行させ,下奪の法となる。
枳実は胆胃を降泄し,陳皮は醒脾利気し,気機を通降し,流暢ならしめ,津気并調の法となる。
全方を綜観すれば,清泄胆熱,上下分消の法をなす。
本方の構成は,和解少陽とは云えど,小柴胡湯とは立方の趣旨が稍異る。
両方とも寒熱往来、胸脇脹痛、嘔逆脈弦等の証を治し,ともに邪在少陽半表半裏の病機にはあるが,此の証は裏熱と湿濁は小柴胡湯よりも盛んで,邪実で虚象が無い,故に此の方には柴胡を用いず,青蒿で三焦の湿濁を化し透熱邪している,青黛は清肝凉血し黄芩の清熱の力量を増強する,さらに小柴胡湯中の人参、大棗の補,生姜の温を去り,祛痰降逆の温胆湯を配し,和解少陽の方から,一変して清泄胆胃の法へと変えている。
また湿熱盗汗の一証については,古人の多くは陰虚から論治するが,三焦湿熱によるものも少なくはない。
少陽の半表半裏を湿が阻めば,夜に臥す時に陽気が陰分へと内帰する際に,陽気による表衛の固護が失われると同時に,内入する陽気と裏熱とが相い合わさり裏熱が蒸騰し,湿が外泄するので盗汗となるのである!
中医ネットによれば、その応用は「腸傷寒、急性胆嚢炎、急性黄疸型肝炎、胆汁返流性胃炎、腎盂腎炎、瘧疾、盆腔炎、鈎端螺旋体病(レプトスピラ症)の少陽胆と三焦の湿遏熱鬱者」となっている。
特に腎盂腎炎が対称になる事をアピールしておきたい。

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