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藿香正気散(《太平恵民和剤局方》)

[組成]藿香・紫蘇・白芷・桔梗・陳皮・白朮10 厚朴・半夏12 大腹皮・茯苓15 甘草3
[主治]外では風寒に感じ,内では湿滞に傷つき,悪寒発熱,頭重脹痛,胸膈痞悶,嘔吐泄瀉,苔膩脈濡の証候がある。
[証析]此の風寒を外感したり,湿滞が内停した機序には2種の情況がある:
①平素から脾胃が虚弱なため,ひとたび風寒の外感に遇うと,津気の運行を阻碍し,脾胃からの水津を輸出する路が阻まれ,遂に脾不運湿となり,湿濁が内停するか,或いは清濁が相干(あいおか)す吐瀉交作となり,表裏同病を形成する。
②しかし表証が無ければ,単に飲食を慎しまず引き起した脾運障碍であり,津気の昇降が失常し痞脹嘔瀉を呈したものである。
現れた証候はみな脾胃の納運昇降の失常で,湿凝気阻の反映である,前者は先ず津気出入を受阻した後に昇降失調を引き起したもの,後者は単に昇降を失常したものである。
[病機]外感風寒,内傷湿滞。
[治法]芳香化湿,昇清降濁法。
[方義]此の証は外感内傷を問わず,最終的にはみな中焦の運化失職,湿凝気阻,昇降失調したものである。
治には醒脾化湿が宜しい,脾運を恢復し,気機を疏暢にし,昇降を利し,腠理を開泄し,出入を通し,脾運を健全にし津気を行らせる,昇降が回復すれば吐瀉は止り,表裏は和して諸証は癒える。
本方は芳香化湿,利気行津,昇清降濁,扶正祛邪,表裏同治など数法の合用したものである。
藿香は辛温,理気和中,辟穢止嘔,外散表邪,内化湿濁,表裏同治し且つ調気行津を兼ね,作用は最も全面にわたり,この方中の主薬である。
[応用]本方の功は専ら宣化湿濁,疏暢気機,調理胃腸の功能であり,是れは寒湿困脾,湿凝気阻を治すに有効な名方である。
表証を兼ねる者にも用られるし,表証を兼ねない者にも常用される。
本方選薬は表裏上下を兼顧し,芳化、燥湿、淡滲の功がある,表裏寒熱を加減すれば,三焦の津凝気阻の各種証候に用いることが出来る。
[化裁]
1. 一加減正気散(《温病条辨》)は三焦気滞による大便不爽に有効である。
2. 二加減正気散(《温病条辨》)は湿鬱三焦,脘悶便溏,身痛舌白等証を治し、化湿理気,宣通腠理をなす。
3.三加減正気散(《温病条辨》)は穢湿着裏,舌黄脘悶,気機不宣,長引いて醸熱した証を治し、理気化湿に,泄熱を兼ねる。
4.四加減正気散(《温病条辨》)は穢湿着裏,邪阻気分,舌白滑,脈右緩の証を治し、寒湿を温化する。
5.五加減正気散(《温病条辨》)は穢湿着裏,脘悶便泄の証を治し、運脾燥湿をなす。
上述の五つの加減正気散には均しく脘悶或いは脘脹という湿凝気阻の証候があるので,藿香、厚朴、陳皮、茯苓を基礎として,暢気醒脾,芳化淡滲をしている。
   『中医治法與方剤』(陳潮祖)より
※昨日のこと、前頭部に鈍痛を訴える婦人があり、SG顆粒やバファリンなどの鎮痛薬を服用しても良くならないという。食欲もなく、大変不快な気分で耐えられないそうだ。見れば舌に白苔があり舌質は冷えた感じである。「消化器性の頭痛ですよ、大丈夫です。」と安心させて藿香正気散エキスを持っていってもらった。

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