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独活寄生湯(《備急千金要方》)

[組成](独活・杜仲・牛膝5 桑寄生8 防風・秦艽・桂心・当帰・川芎3 芍薬10 干地黄6 人参・茯苓4 細辛・甘草2)66
[用法]水煎服。
[主治]肝腎両虚での,風寒湿痺。腰膝が重痛し,腿足が無力で,畏寒喜熱し,苔白で脈遅き者。
[証析]腰は腎の府なり,膝は筋の府なり,腰膝の重痛は,病が肝腎に在る;畏寒喜熱し,苔白で脈遅は,病性が寒に属する;重痛無力は,湿滞の象なり。
此の証を綜観すれば,営衛空虚と,肝腎不足に因り,風寒湿邪が虚に乗じて侵襲し,腰膝に滞留したものである。
[病機]営衛不足,肝腎虚損,風湿痺着。
[治法]補虚宣痺法。
[方義]《素問,陰陽応象大論》に説く:"地湿の気を,感ずれば皮肉筋脈を害する。"
風寒湿の三気が躯体を侵犯すれば,其の病変は体表組織だけには止まらない。
皮、肉、筋、脈は共に病み,施治には全面的考慮が必要で,どれ一つとしておろそかには出来ません。
ゆえに此の証には祛風散寒薬物を用いて開表泄邪し,病因を消除しなければなりません;
除湿活血薬物は津血を流通し,痺着を宣発する;
柔肝緩急薬物は筋脈を舒緩し,攣急を解くことで,はじめて疼痛は漸く消失できる。
本方は独活、細辛、防風、秦艽、桂心を用いて解痙し,祛風散寒除湿する;
茯苓は淡滲利湿し,桂心、川芎、当帰、牛膝は血脈を温通する;
白芍、甘草は柔肝緩急し,風寒湿の三気が合さった痺証に対し,能く宣痺止痛の功効を現す。
これらの薬の構成は祛風泄邪,流通津血,舒緩筋脈となっており,病因、病位、病性の三方面を兼顧し,「通」の治療原則を可能にしている。
然し,風寒湿邪が腰膝に痺着するのは,営衛空疏と,肝腎不足に因るもので,病邪は虚に乗じて入っている。
故に桑寄生、牛膝、 杜仲を用いて補肝腎,強筋骨に;
人参、甘草は補気実衛を,当帰、地黄は養血調営をと,共に補肝腎,益気血の功効を期待している。
この構成薬は助正祛邪するだけではなく,また外邪復侵を防止する意でもある。
両構成薬物を合用して,標本兼顧となり,上述の証候を治すに適したものとなっている。
痺証の特徴は痛みであるが,どんな原因で引き起される疼痛なのか?
風、寒、湿が人体に留滞して気、血、津液の運行不利を引き起している。
故に痺証の治療には,祛風、散寒、除湿をして外来の邪を祛ることを考慮するだけでなく,更に活血の品を使用して血脈を暢通させる事にも注意しなければならない。
本方には既に祛風、散寒の独活、防風、細辛があり,又温通血脈の桂心、当帰、川芎、牛膝もあり,風寒湿邪を去らせるとともに,血脈を暢通させ,痛みが自然に愈えるようにしている。
方中の独活、防風、白芍、甘草には痙攣を解く作用がある。
もし坐骨神経痛が風寒湿邪の留滞に因るものなら,此の四味を重用して緩解攣急作用を増強させる。
并せて適当に附片、乳香の類を加入して,温経活血の力量を増強させる。
此の方を学習するにあたり以下の2点に注意しなければならない:
①此の方の構成は,祛風散寒、除湿通絡、柔和筋脈、益気実衛、養血調営、強筋壮骨が合用された配伍形式を持ち,邪正両方面を顧慮している。
祛邪方面では,風寒湿三気を祛除出表させるとともに,組織構造(筋脈)の攣急と,基礎物質(津血)の壅滞をも考慮している。
扶正方面では,営衛不足により,三気が虚に乗じて入らないように考慮している;
また肝腎虧損により,三気が両経の所属部位に留着しないように考慮している。
人参、茯苓、甘草を用いて益気し,皮肉を実しさせ,当帰、地黄の養血で,血脈を充す;
白芍、甘草、 牛膝、杜仲は肝腎を兼顧し,柔和筋脈,強壮筋骨をはかり,用薬には皮、肉、脈、筋の四層次を兼顧した,厳密な構成である。
②此の方の配伍理論の依拠するところは,《素問,痺論》に基づく。
《素問,痺論》が提出するのは"風寒湿の三気が,合さると痺となる。"
本方で独活、防風、 細辛の祛風解痙と,白芍、甘草の柔肝緩急を配する,所以は軒岐の配伍理論に拠る。
[応用]
1.此の方は腰膝冷痛を治すのに長じている,舌淡、苔白、脈遅を兼ねれば,本方が使用できる。
寒が勝れば,生姜、 附片を加える; 湿が勝れば蒼朮、防己を加える。
《三因極一病証方論》に謂く、本方は最も歴節風を治すと。
2.小児麻痺証の,瘫痪期には,木通か通草を加える;脾虚には白朮を加える;肌肉萎縮には補陽還五湯を合用して与える;頑固なら,麝香を加える。
[加減]三痺湯(《校注婦人良方》):川続断、杜仲、防風、桂心、細辛、人参、白茯苓、当帰、白芍、甘草30g,秦艽、生地黄、川芎、川独活15g,黄芪、川牛膝30g。為粗末,毎服 15g,水2盞,姜3片,棗1枚。
血気凝滞を治せば,手足拘攣,風痺、気痺等の疾は皆癒える。
ある人が左臂不遂を病み,后に已に痊平したが,手指だけが無力で使えなかった,諸薬を試して無効だったが,此の薬を服したらようやく半ばほど回復した。
此れは即ち独活寄生湯から桑寄生を去り,続断、黄芪、生姜を加えて,補虚宣痺の功効を加えている。
   『中医治法與方剤』(陳潮祖)より
※この処方はもっと頻繁に使われても良い。

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