重病でも少量の薬で治せる2
1965年の冬,一患者を治した,女,41歳。
風湿性心臓病で,二尖辧狭窄と閉鎖不全のため,心力衰竭して2年以上になる,中、西薬物治療を遍用するも不効。
症状は浮腫尿少,胸腹積水,咳喘短気,不得平臥,心煩,心悸,身熱口渇,舌質紅絳,苔浄,脈細疾促で無力。
某医の診治によれば:此れは心腎陰虚であるから,加減復脈湯で養陰清熱するのが宜しい。
処方:生地・麦冬・人参・天花粉・石斛・元参15 五味子・白芍12 阿膠10。
たった1剤の薬だけで,諸証は悪くなった。
已むを得ず,改めて李翰卿先生を迎えたところ,云わく:真武湯加減で治すが宜しい。
処方:附子0.6 白朮・白芍0.6 人参0.4 茯苓1 杏仁0.3。
服薬2剤の后,諸証は大いに減り,尿が多くなり腫れが減り,呼吸は少しだけ楽になった。
此の時に患者の家属が所用の薬剤の量と薬味の少ないのを見て,怒った云った:此のような危重の疾に,こんな少ない薬で,治るものか!
已むを得ず,原方の10倍量にして出して,服薬すること2剤,諸証は悪化し,家属は慌てた。
急いで李翰卿先生に再治を求めたところ,云わく:原方原量でよい,変更する必要はありません。
再処:附子0.6 白朮・白芍0.6 人参0.4 茯苓1 杏仁0.3。
薬后に諸証は果して減少した,患者の家属の云わく:重剤でなければ危重証は治せないものと思い込んでいましたが間違いでした。
中医临证经验与方法 より
※たとえ証が合っていても虚証だと重剤はいけない。
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