興味深い治験例 慢性気管支炎3
3.脾胃虚寒を聞き出せず反治肺腎のミスを犯した
例如:患者李××,女,30歳。
支気管哮喘になって5年,夏になると必ず起こり,冬季には反って減少する,この両年来は冬夏倶に喘し,歩くと呼吸が荒くなる。
前医は定喘湯、小青竜湯を出したが無効だった。
私が診るところでは脈弦大なので,黄芪鼈甲散去鼈甲、秦艽、天冬、桔梗、桑皮,加麦冬で治療した。
※(黄芪5 地骨皮・柴胡・半夏・知母・生地・白芍・麦冬・肉桂・桔梗・紫菀・党参・茯苓3)
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7剤の薬后 喘咳は大いに減じたが,それ以上継服しても無効で,歯衄、鼻衄、泄瀉を起こした。。
いくら考え直してみても,やはり上方は正しいと思えるので,更に20剤を与えた,薬后に気短咳喘は劇しくなり,衄血も続くし,手足は共に厥冷し,舌質は淡暗,脈弦緊となった。
反復思考するに,衄は火証が多いといえど,然し虚寒者にも有ることだ,且つ十数日来 胃脘満痛して,食欲不振がある。
乃ち云く:脾胃虚寒が本で,痰飲蘊鬱が標である,因って附桂理中合二陳湯方を4剤出した,薬后に衄血は完全には止らなかったが,喘咳は漸く平静になった。
朱进忠医案 より
※夏になると起こるので気陰両虚、痰濁中阻の黄芪鼈甲散(朱先生の得意な処方)が選ばれたが、脾胃虚寒になったのは黄芪鼈甲散が重すぎたからではないのか?
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