興味深い治験例 慢性気管支炎4
4.腎不納気なのに,升宣の麻黄を与えてしまった
例如:患者李××,女,成。
喘咳短気して10ケ月以上になる,某院では慢性支気管炎合并感染、肺気腫との診たて。
入院治療を8ケ月以上したが無効,退院后に中医に治を求めて,1ケ月以上になるもやはり無功。
証を審視するに:喘して短気,面赤く足冷え,上半身が煩熱して,時時汗が出る,脈寸大尺微。
証脈を勘案するに,これは腎気虚衰,虚陽上浮,納気失職である,欲しいのは金匱腎気丸。
又思うに,麻黄は定喘の要薬であり,地竜は解痙定喘の良薬である。
だから金匱腎気丸方中に麻黄、地竜を加入れよう。
服薬2剤で無功であるばかりか,反って症状がひどくなった。
再び思うに,金匱腎気丸は滋陰温陽,納気帰腎で,ピッタリだが,麻黄は宣肺升浮,地竜は通絡脈疏内風で,病とは逆になるから,去る必要がある。
処方:熟地24 山薬12 補骨脂・茯苓・沢瀉・丹皮・附子・肉桂・五味子・車前子10
僅か1剤を服しただけで,喘咳、短気は即減じ,継服すること10剤にしてすっかり良くなった。
朱进忠医案 より
※薬効を焦るばかりについ余計な加味方をしてしまうのは自分にもよくある事、戒め。
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