興味深い治験例 慢性気管支炎6
6.中焦の気滞には脾胃を調理せよ,反して肺薬を用いてはならない
例如:患者李××,男,成。
喘咳が止らず,食后に重くなる。もう三ケ月以上になる,中、西の薬物を頻用するも不効。
前医の処方を調べると,定喘湯、小青竜湯、射干麻黄湯、生脈散加減などである。
其の証を再察するに,喘して平臥できないが,喘声は劇しくなく,腹満腹脹があり,脈は弦緊である。
しばらく思考してから云く:“痰湿中阻による,輪軸失転である。経に云く:五臓六腑は皆人をして咳せしむ,独り肺のみに非ざる也,此の喘咳もそうであろう。景嶽は初喘には肺を治したが,久喘には腎を治すと論じているが,一概にそうも云えない。治療には平胃、二陳加減で痰湿を除き,脾胃を理し,輪軸の狂いを直せば,肺気は自ずから降り,腎気は自ずから納まるだろう。”
処方:半夏・陳皮・杏仁・厚朴・茯苓・神曲10 蘇葉6。
服薬すること2剤にして,咳喘は稍減じ,継進すること20剤にして喘咳は漸く平定した。
朱进忠医案 より
※喘声が劇しくないと云うのも肺以外に目を向けるヒントになるのですね。
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