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肝鬱感冒

葛××,男,30歳。
腹を立てた后で,突然感冒にかかり,先ず西薬治療を一ケ月間余やり,その后中薬の疏風散寒,辛凉解表薬の治療を20数日間やったが,いずれも効かなかった。
症状は頭暈頭痛,全身酸痛,鼻塞流涕,絶え間ない噴嚏,眼の微痒,軽微な咳嗽,胸脇苦満,食欲不振,舌苔薄白,脈沈微弦。
脈証を綜合して思考するに:鼻塞流涕,頻繁な噴嚏は,確かに風寒客肺の証で,頭暈頭痛,全身酸痛は確かに風寒客表の証であるのに,いくら治そうとしてもちっとも効かない,しかし胸脇苦満,脈沈弦を再思すると,これは肝鬱気滞の脈証である,且つ病が起ったのは腹を立てた后である,此れは実は肝鬱の証で,外邪を感受したので,清陽が升れず,濁陰が降れず,それで営衛失調,肺衛不固となり,感冒が解けないのだ,治すには調肝理気プラス解表宣肺とするのが宜しく,参蘇飲加減を処方した。
 処方:党参・蘇葉・陳皮・枳殻・前胡・半夏・甘草・桔梗・茯苓10 葛根15 木香6
服薬すること三剤で,諸証は消失して愈えた。
   难病奇治 より
※参蘇飲に肝鬱を解く作用があるとは知らなかった!

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月経期の感冒

李××,女,38歳。
七、八年来,毎回月経が来る一二日前になると頭痛身痛,鼻塞流涕,噴嚏,或いは軽い咳嗽の症状が現れ,月経が過ぎると二日ほどで症状は自然に消えていきます,今までに多くの西薬やら中薬の解表清熱、疏風散寒、補気固表剤を用いてみましたが,一向に効ききませんでした。

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葛根湯の誤案

 康某とは,黄師(黄仕沛)の姐さんですが,吾輩は“師姑媽”と呼んでいます,年は70ほどで,今も経方の研究をしています。
糖尿病、頚椎病、骨質疏松、老年退行性骨関節病の病歴があります。
今年3月に,毎夜片側の足のつま先~脛にかけて攣急疼痛の発作を起こした,それも夜間に多く,毎夜一回は起こり,毎回3~5分間続き,痛くて眠れない。

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譫語妄行,独語不休

精神病患の“如狂”の類いには,例えば“如有神霊”の百合病;“象如神霊”の臓躁証;“独語如見鬼状”の大承気湯証,“妄行,独語不休”の防己地黄湯証,“喜忘”、“其人発狂”、“其人如狂”の抵当湯証,“其人如狂”の桃核承気湯証……などがある。

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耳鳴耳聾

耳鳴・耳聾は中気不健による濁陰上逆・相火上炎が原因である。

【脈証機理】
耳は清陽の門戸なり,清虚なれば善く聞き,滞塞すれば重聴となり,甚しければ耳聾となる。
《素問·陰陽応象大論》に云わく:北方は寒を生ずる,臓は腎,竅は耳なり。

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湿邪咳嗽(湿咳)

一般に肺気とは単に五穀の匂いを嗅ぎ,衛気を宣発し,膚に熏じ、身に充ち、毛を沢すものと考えられているが,実は肺系に進入した邪気をも宣発することが出来ます。
邪気の影響で肺気不降になると,咳嗽吼喘を起すが,ふたつの病理は区別されていない。
その区別は実は、咳嗽とは肺気の宣発そのもの“上逆”でもあり,咳嗽によって肺気は宣暢となるのです;如し肺気が不暢のままで,胸中に壅塞しておれば,宣発も粛降も出来ません,それで現れるのが喘です。

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夜尿症

孫××,男,14歳。
幼い頃より,いつも夜間尿床があり,また時には知らない間に尿失禁している事がある。
某院の診断では隠性脊椎すべり症とのこと。
前医は曽つて久しく針灸、中薬の補腎摂尿、固脬止遺の法を用いて治療したが,はっきりした効果は無い。
このため,患者はいつも宿泊学習ができない。
また羞かしいのでいつもオムツをし、濡れており,それは睡眠、学習にも影響していた。
其の証を細察したが,遺尿の外には,別に何も痛苦はなく,舌苔は薄白で,脈は弦緩だった。
脈証を綜合して,反復考慮するに:弦緩の脈とは,乃ち営衛失調の脈である,遺尿とは膀胱太陽の気不固である。
治には和営衛、調陰陽,固渋が宜しい。
桂枝竜骨牡蛎湯加減(桂枝・白芍・炙甘草10 竜骨・牡蛎12 生姜9 大棗7枚)
服薬6剤の后,十数日内で遺尿と尿失禁は無くなった,継服10剤にして,愈えた。
   難病奇治 より
※浮弱なら桂枝湯の脈だが、弦緩の脈が営衛失調の脈であるとは?いまひとつ腑に落ちないが、太陽膀胱経ならやってみる価値はある。

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伏邪の兆候

李可老中医の『急危重症疑難病経験専輯』に載っている古今医案には優れた知識が満載されています。

『古今医案---李可老中医急危重症疑難病経験専輯』(中国語)をしばらく振りで読み始めて、早速ひとつ拾いました。
日本語訳本は中医学に通じていない中国人の翻訳なので十分に意味が通じない所があります。
次の訳文は原文からの私流の翻訳です。

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足心灼熱

雷××,男,成。
半年ほど前から,両足心が耐え難いほど煩熱する,某医は陰虚発熱と診断した。
知柏地黄、六味地黄等の加減を与えて治療を進めた。

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肢体疼痛

痺証の発生機序:一つは人体の皮、肉、筋、経、骨、脈等の正常組織を損傷して,導びかれる局部の血瘀絡阻,による痛み,如えば火熱焼灼、外傷打撃等によって引き起される疼痛は皆この種の情況のものです。
もう一つは人体の正常組織の営養缺乏によるものです,如えば気血虚弱,或いはある種の営養物質が流通不能により患処に到達できないための痛み。

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大便秘結十数年

程××,女,18歳。
十数年来,ずーっと大便が秘結している,便は羊屎のように干き,腹脹して食欲不振,毎回便秘のための中、西薬物で治療しなければ排便できない。
10歳の頃は,便秘に西薬の緩瀉剤を用いたら順調に出ていた。
14歳以后になると次第に西薬は効かなくなり,已むを得ず,灌腸法に改めてやっと排便できた。

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重病でも少量の薬で治せる4

耿××,女,50歳。流行性乙型脳炎で,高熱昏迷すること7昼夜。
医師は西薬と中薬の清瘟敗毒飲、安宮牛黄丸、銀翹白虎湯加減 等を与えて治そうとしたが無効。
私が診ると,神昏,二便失禁,舌苔薄白,舌質淡黯,肢厥脈微である。
脈証を綜合すると,亡陽証である:急遽 四逆湯を処方した:附子・干姜・炙甘草4g。
服薬1剤の后,意識が戻り四肢は温かくなり,体温は38.9℃から37.5℃に降った。
某医は此の状を見て,云わく:こんなに重症なのに,こんな微剤微量では,とても風前の灯のような生命を守れない,病人に責任を取りたければ,ここは是非とも大方大剤で行かなければならない。
且つまた人参の大補元気を,加えるべきだ。
乃ち処す:附子・干姜・人参40 炙甘草10g
薬進1剤の后,その夜に又神昏肢厥となり,身熱,体温39.8℃となった。
急邀私が再度往診した。
余云わく:此の病は正虚邪実である,只微薬にて少火を助けなければならない,大剤で壮火を実してはならない,さもなくば邪盛正衰の難となろう。
先ず三甲復脈で以って補陰斂陽し,その后 四逆の微量を以って少火を助けるのが宜しい。
   中医临证经验与方法 より
※三甲復脈湯(生亀板・生鼈甲・炙甘草・乾地黄・生白芍・麦門冬・阿膠・麻子仁・生牡蛎)
※体温が高くても四逆湯を採用するのは大きな決断が要るが、四肢が温まれば体温は自然と退く。

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重病でも少量の薬で治せる3

蘇××,女,53歳。支気管哮喘に喘息性支気管炎を合并して30余年になる。
始めは僅かに花粉、灰塵に遇った時だけ喘咳発作が起こっていた。
この2年来,諸証が劇しさを加え,七八ケ月前から,ほとんど昼夜を問わず喘し,平臥ができないし,食欲も全く無くなった。
医師は中、西薬物を万元に及ぶほど使ったが,どれも少しも効かなかった。
私が診ると,気短で息ができず,一日中端坐して平臥ができない他に,指、趾、額、颏(あご)、耳殻 みな冰の如く冷たい,舌は淡で苔は白い,脈は細にして促。
脈証を綜合すれば,心腎陰陽倶虚と診断され,陽虚が主で,水飲不化を兼ねている。
真武湯加減で治すことにする。
処方:附子・茯苓・白朮・人参・杏仁1 白芍1.5。
服薬2剤の后,喘咳短気は大いに減り,少し平臥できるようになった,微かだが飲食も進む:某医が薬味、薬量の少なくて小量なのを見て,かなり異論があるようです。
云わく:前医が用いていた諸方の薬物は少くても十五、六味で,多ければ30余味にも達し,用いた薬量も軽くて10g,重ければ40g,しかるに服后はどれも無効だった。
此の方の薬物は僅か6味で,薬量も重くてやっと1.5gしかない,此のような重疾に,此のような小薬で,効くわけないでしょう!
すぐに原方の薬量を10倍に増大した。
4剤の后,諸証は又明らかに劇しさを加えた。
で再び私が往くことになった。
私は診后に,云った:此の病は陰陽倶衰で,陽虚が主です,治療には微かに陽気を培し少火の生長を助けるだけでよい,若し10倍の附子にすれば壮火と成り耗気損陰になるばかりです,故に原方の小量だけで宜しい。
服薬1剤で,果して諸証は大いに減じた。1ケ月后,諸証は消失して退院した。
   中医临证经验与方法 より
※陽虚には少火を助けること、こんなに少ない量でいいのですね。

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重病でも少量の薬で治せる2

1965年の冬,一患者を治した,女,41歳。
風湿性心臓病で,二尖辧狭窄と閉鎖不全のため,心力衰竭して2年以上になる,中、西薬物治療を遍用するも不効。
症状は浮腫尿少,胸腹積水,咳喘短気,不得平臥,心煩,心悸,身熱口渇,舌質紅絳,苔浄,脈細疾促で無力。
某医の診治によれば:此れは心腎陰虚であるから,加減復脈湯で養陰清熱するのが宜しい。
処方:生地・麦冬・人参・天花粉・石斛・元参15 五味子・白芍12 阿膠10。
たった1剤の薬だけで,諸証は悪くなった。
已むを得ず,改めて李翰卿先生を迎えたところ,云わく:真武湯加減で治すが宜しい。
処方:附子0.6 白朮・白芍0.6 人参0.4 茯苓1 杏仁0.3。
服薬2剤の后,諸証は大いに減り,尿が多くなり腫れが減り,呼吸は少しだけ楽になった。
此の時に患者の家属が所用の薬剤の量と薬味の少ないのを見て,怒った云った:此のような危重の疾に,こんな少ない薬で,治るものか!
已むを得ず,原方の10倍量にして出して,服薬すること2剤,諸証は悪化し,家属は慌てた。
急いで李翰卿先生に再治を求めたところ,云わく:原方原量でよい,変更する必要はありません。
再処:附子0.6 白朮・白芍0.6 人参0.4 茯苓1 杏仁0.3。
薬后に諸証は果して減少した,患者の家属の云わく:重剤でなければ危重証は治せないものと思い込んでいましたが間違いでした。
   中医临证经验与方法 より
※たとえ証が合っていても虚証だと重剤はいけない。

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重病でも少量の薬で治せる1

1964年の冬,一患者を治した,男,78歳。
食后に胃脘が灼熱疼痛し,嗳気をすること数年。
医は食道裂孔ヘルニアと診断した。
中、西薬物をいろいろ用いて治療したが,効きめがなく,李翰卿先生を招いて診治してもらう事になった。

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嚥下障害 (誤嚥) 3

脾虚胃燥なのに反って温燥薬で傷胃した
張××,女,29歳。
呑咽困難が,軽くなったり重くなったりして2年以上になる。
医診では食管賁門失弛緩症とのこと。(食べものが飲み込みにくくなる、食道アカラシア、嚥下障害の類)

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興味深い治験例 慢性気管支炎7

7.肝鬱を見抜けず,治肺ばかりして理肝をしなかった
例如:患者張××,女,成。
哮喘が反復発作して数十年になる,8ケ月前から咳喘が又起こっている,某院で入院治療を半年したが無効で,退院后,中薬を宣肺定喘,降気化痰,納気帰腎 等と配合を変えて百剤も試したがどれも無効だった。
証を細審するに,喘して短気,頻頻と咳嗽し,頭暈目眩,心煩心悸,胸脇竄痛,月経期には尤もひどい,夜間口干,また口苦,食欲不振がある,再び其の病の始まりを尋ねると,月経期間に腹が立つことがあってから重くなった,舌苔白,辺に瘀斑あり,脈は虚弦滑。
しばらく考えてから,心肺倶虚,痰飲内聚,肝木失達,木火凌金の候と弁証した。
益気養陰,疏肝化痰のため,
咳嗽遺尿方加減(柴胡・当帰・白芍・半夏・陳皮・青皮・紫菀・麦冬・党参・五味子・黄芩10)
薬進すること3剤にして,喘咳は減り始め,継進すること40剤にして喘は平定した。
   朱进忠医案 より
※病歴が数十年も経つと治肺ばかりでは間に合わない。

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興味深い治験例 慢性気管支炎6

6.中焦の気滞には脾胃を調理せよ,反して肺薬を用いてはならない
例如:患者李××,男,成。
喘咳が止らず,食后に重くなる。もう三ケ月以上になる,中、西の薬物を頻用するも不効。
前医の処方を調べると,定喘湯、小青竜湯、射干麻黄湯、生脈散加減などである。
其の証を再察するに,喘して平臥できないが,喘声は劇しくなく,腹満腹脹があり,脈は弦緊である。
しばらく思考してから云く:“痰湿中阻による,輪軸失転である。経に云く:五臓六腑は皆人をして咳せしむ,独り肺のみに非ざる也,此の喘咳もそうであろう。景嶽は初喘には肺を治したが,久喘には腎を治すと論じているが,一概にそうも云えない。治療には平胃、二陳加減で痰湿を除き,脾胃を理し,輪軸の狂いを直せば,肺気は自ずから降り,腎気は自ずから納まるだろう。”
処方:半夏・陳皮・杏仁・厚朴・茯苓・神曲10 蘇葉6。
服薬すること2剤にして,咳喘は稍減じ,継進すること20剤にして喘咳は漸く平定した。
   朱进忠医案 より
※喘声が劇しくないと云うのも肺以外に目を向けるヒントになるのですね。

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興味深い治験例 慢性気管支炎5

5.心腎陽虚,水飲内停,上凌心肺なのに,宣肺化痰を反用して正気を傷つけていた
例如:患者李××,女,成。
支気管哮喘が反復発作してもう数十年になる,一年前には感冒に因って咳喘が加重した,某院では支気管哮喘合并感染と診断して,前后して入院治療を7ケ月以上したが好転せず,その后また中薬の射干麻黄湯、定喘湯、蘇子降気湯、小青竜湯加減等の配合で治療すること8ケ月以上になるが亦無功だった。
其の証を診ると,喘咳短気して平臥できない事の外に,骨痩して柴の如く,飲食は倶に廃され,畏寒肢厥,足冷は膝までに至り,手冷は肘までに至る,口干しても飲みたがらず,舌淡で苔白,脈沈細促無力である。
反復思考し,証脈を合参すれば,心腎陽虚,邪水上汎,上凌心肺と弁証される。
しかるに前医が用いた諸方はみな実治だったから,奏功しなかったのである。
そこで真武湯の原方を1剤とした。
すると某医は処方を視て,云く:“病重くして薬軽し,また麻黄の定喘が無ければ,飲んでも無駄である。”と云ってその処方に麻黄を加えて1剤を服させた,結果として服薬すること4剤になっても,効果は無く,又私の診を請うことになった。
私云わく:“正虚の躯に,克伐の品を過用して,已に正虚邪実の重証に成っている,麻黄の発散力は微かでも,正気を傷つけるには充分である,麻黄を去り,人参、杏仁を加え,正気が少し回復すれば,痰飲は減るだろう。”
処方:人参・杏仁・附子・白芍・茯苓・白朮6 生姜1片。
薬進すること2剤で,咳喘は少し減り,継服すること20剤で喘咳は平定して退院した。
   朱进忠医案 より
※「病重くして薬軽し」と考えるのは誰もが犯しやすい間違いだ。

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無症候性蛋白尿

慢性腎炎症候群の中でも無症候性蛋白尿・血尿症候群という場合は殆ど病人に自覚症状がありません。
中医学は症状があって初めて証が決められるので、無症状のこの病気に対しては対応に困ります。
四診では僅かに尿色が黄赤だとか、面色が皓白だとか、腰酸(だるい)があるとかいうだけで、あとは脈診に頼るしかありません。

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興味深い治験例 慢性気管支炎4

4.腎不納気なのに,升宣の麻黄を与えてしまった
例如:患者李××,女,成。
喘咳短気して10ケ月以上になる,某院では慢性支気管炎合并感染、肺気腫との診たて。
入院治療を8ケ月以上したが無効,退院后に中医に治を求めて,1ケ月以上になるもやはり無功。
証を審視するに:喘して短気,面赤く足冷え,上半身が煩熱して,時時汗が出る,脈寸大尺微。
証脈を勘案するに,これは腎気虚衰,虚陽上浮,納気失職である,欲しいのは金匱腎気丸。
又思うに,麻黄は定喘の要薬であり,地竜は解痙定喘の良薬である。
だから金匱腎気丸方中に麻黄、地竜を加入れよう。
服薬2剤で無功であるばかりか,反って症状がひどくなった。
再び思うに,金匱腎気丸は滋陰温陽,納気帰腎で,ピッタリだが,麻黄は宣肺升浮,地竜は通絡脈疏内風で,病とは逆になるから,去る必要がある。
処方:熟地24 山薬12 補骨脂・茯苓・沢瀉・丹皮・附子・肉桂・五味子・車前子10
僅か1剤を服しただけで,喘咳、短気は即減じ,継服すること10剤にしてすっかり良くなった。
   朱进忠医案 より
※薬効を焦るばかりについ余計な加味方をしてしまうのは自分にもよくある事、戒め。

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興味深い治験例 慢性気管支炎3

3.脾胃虚寒を聞き出せず反治肺腎のミスを犯した
例如:患者李××,女,30歳。
支気管哮喘になって5年,夏になると必ず起こり,冬季には反って減少する,この両年来は冬夏倶に喘し,歩くと呼吸が荒くなる。
前医は定喘湯、小青竜湯を出したが無効だった。
私が診るところでは脈弦大なので,黄芪鼈甲散去鼈甲、秦艽、天冬、桔梗、桑皮,加麦冬で治療した。
※(黄芪5 地骨皮・柴胡・半夏・知母・生地・白芍・麦冬・肉桂・桔梗・紫菀・党参・茯苓3)
7剤の薬后 喘咳は大いに減じたが,それ以上継服しても無効で,歯衄、鼻衄、泄瀉を起こした。。
いくら考え直してみても,やはり上方は正しいと思えるので,更に20剤を与えた,薬后に気短咳喘は劇しくなり,衄血も続くし,手足は共に厥冷し,舌質は淡暗,脈弦緊となった。
反復思考するに,衄は火証が多いといえど,然し虚寒者にも有ることだ,且つ十数日来 胃脘満痛して,食欲不振がある。
乃ち云く:脾胃虚寒が本で,痰飲蘊鬱が標である,因って附桂理中合二陳湯方を4剤出した,薬后に衄血は完全には止らなかったが,喘咳は漸く平静になった。
   朱进忠医案 より
※夏になると起こるので気陰両虚、痰濁中阻の黄芪鼈甲散(朱先生の得意な処方)が選ばれたが、脾胃虚寒になったのは黄芪鼈甲散が重すぎたからではないのか?

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興味深い治験例 慢性気管支炎2

2.気逆作喘なのに升浮の薬を反用した
例:患者耿××,男,成。
喘咳が2ケ月以上も止らない,某院では慢性支気管炎合并感染と診て,入院治療を一ケ月以上したが無効で,又中医に転じた,先用したのは定喘湯加地竜,継用には小青竜湯,射干麻黄湯等の加減としたが仍お無功だった。
其の証を細審すると,喘咳のため平臥不能,痰涎壅盛,咽喉不利,頭汗較多,脈滑,寸盛尺弱である。
これは正に蘇子降気湯証に合致している,但だ麻黄が喘家の聖薬である事を考慮すると,恐らくは蘇子降気湯の量では効かないだろうと,蘇子降気湯加麻黄として治療することにした。
だが服薬2剤で寸効も無かったので,教えを恩師李翰卿先生に求めた。
先生云わく:“証は蘇子降気湯証に間違いない,効かなければならないはずなのに,全然効かなかった,理由は麻黄の一味に在る。麻黄は喘家の聖薬ではあるが,性は宣散升浮である,本病は痰濁壅盛,気逆作喘,降気化痰、納気帰腎に非ざれば解することが出来ない,若し麻黄の升散を再加入すれば,必ずや病勢を上冲させるから,喘咳は劇しくなるだろう,因って麻黄を去りなさい。”
私は其の意に従って,去麻黄としたら,僅か2剤を服しただけで喘咳は即減した,継服すること10剤にして暫時緩解している。
   朱进忠医案 より
※蘇子降気湯は上盛下虚のため頭汗と足冷が対になって現れるようです。

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興味深い治験例 慢性気管支炎

1.表邪が主なのに解表をせずに宣肺定喘ばかりしている
例如:患者趙X×,女,成。
咳喘して三ケ月以上になるが止らない。
某院では喘息性支気管炎合并感染と診たてて,抗生物質,氨茶鹸等で治療すること一ケ多月以上になるが無効,中医治療に転じて2ケ月以上だがやはり無効。
そこで私が請われて治すことになり,定喘湯、小青竜湯等20余剤を試したが同じく無功だった。
私は暫く考えたが,手に負えないので,恩師の李翰卿先生に教えを求めた。
先生云わく:患者は突然悪寒し,身痛と鼻塞がある,これは表寒の証です,表寒者なら先ず解表すべきです,なのに諸医はみな化痰定喘の治をしています,これでは表邪は不解で,肺気は閉鬱したままで,喘咳は減りません,又病いは已に三ケ月余にならんとし,表気は已に虚しており,麻黄で発散するわけにはいきません,何故なら麻黄湯の発汗は劇しく,過汗になれば必ずや表陽を損じます,衛陽が虚せば外邪が居座り,喘咳は愈やし難くなります,故に治すには桂枝加厚朴杏子湯で営衛を調和し,宣肺定喘するのが宜しい。
方用:桂枝・白芍・厚朴・杏仁10 炙甘草6 生姜4片 大棗5枚
服薬すること2剤で,喘咳は顕著に減じた,継服すること10剤で諸証が消失して治癒した。
   朱进忠医案 より
※《傷寒論》にある「太陽病、下之微喘者、表未解故也、桂枝加厚朴杏子湯主之」の条文どおりですね。

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陰寒内結の便秘

便秘の証を,仲景は陰結、陽結、脾約の三種に分けており,后世の医家は風秘、気秘、熱秘、寒秘、風燥の五類に分けている。
しかしこの分類方法は往往にして臨床医には評価されていない。

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