足心灼熱
雷××,男,成。
半年ほど前から,両足心が耐え難いほど煩熱する,某医は陰虚発熱と診断した。
知柏地黄、六味地黄等の加減を与えて治療を進めた。
数月の后も,煩熱は更に重くなった。
后に又 某医を迎えて治療してもらったが,気虚に陰虚が夾雑しているとして,補中益気加知母、黄柏で治療した。
服薬20余剤の后,足心煩熱は減らず,反って足心煩熱は更に耐え難くなり,時時は心煩して,脚を布団から外へ出さないと眠れなくなり,其の后は毎夜 扇子で煽がないと入睡できなくなった。
最近は自分で煽いで暫くは入睡しても,すぐに目が覚める。
特に最近の1ケ月は,毎日 別の人に煽いでもらわないと眠れず,入睡してから1時間后に再び煽いでもらわないと眠り続けられない,そのために他の人に嫌がられている。
其の証を細察するに,其の両足の蹠部を按じてみても正常と異らず,心煩急躁不安があり,舌苔は薄白く,脈は弦細である。
脈証を綜合して,反復思考するに:腎虚なら,尺脈は必ず大か沈微のはずだが,其の脈は僅かに弦細である,此れは必ずや肝鬱気結,陽気阻隔,陰陽失交融のために違いない。
治には舒肝解鬱,和調陰陽をするが宜しい。
丹梔逍遥散加味(柴胡・白芍・当帰・茯苓・丹皮・梔子・玫瑰花・代代花10 薄荷3 干姜4)
服薬2剤の后,足心煩熱は急に減り,継服10剤の后には,足心煩熱の90%が軽減し,睡眠は正常となった。
生地19gを加えて,服薬6剤にして愈えた。
難病奇治 より
代代花 辛;甘;微苦;性平 理気寛胸,開胃止嘔。
玫瑰花 甘、微苦 温 行気解鬱、和血、止痛。
※腎陰虚による足心熱が多いとはいえ、それで治らなければ肝鬱による陰陽失交も候補に入れておかなければならない。
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