肺炎1
黎××,女,成。咳嗽胸満が一ケ月以上続き、肺炎と診断された。
初めは抗生剤を使ったが無効だった,その后 辛凉解表、清熱解毒、宣肺止咳の中薬治療を20日以上やったがやはり効果なし。
咳嗽のほかに,胸満胸痛,疲乏無力,口鼻発干するが渇せず,体温37.7℃,舌苔薄白,脈沈緩稍弦。
病は秋季に発し,脈沈緩で弦,且つ寒凉剤を久用して効かなかったことを考えなければならない。
秋燥凉邪が肺を犯せば,肺気不宣,寒飲内生となり,且つ気鬱を兼ねるだろう。
因って辛潤化痰,理気止咳とする。
杏蘇散加減(紫蘇・陳皮・枳殻・前胡・半夏・木香・甘草・桔梗・茯苓・紫菀10 葛根15)
服薬2剤で,咳嗽はすぐに減り,継服10剤で諸証は消失した。
X線検査で心肺膈は正常となっていた。
某医云く:麻杏石甘湯が効かずに,非消炎薬が有効だったとは?
答えて云く:肺炎は肺熱者が多いけれど,寒飲阻肺の者もいます。本証の脈証は寒、鬱、飲証の合邪に一致していたので,辛温、化飲、理気の合法を用いて愈えたのです。
中医临证经验与方法 より
※肺炎と聞けば抗生物質や麻杏甘石湯のような辛凉清熱剤を第一に思いつきやすいが、秋の凉燥という季節性を忘れてはならない。先ず辛温剤を投与すべきだったのに誤って清熱解毒をしたところ、寒邪閉鬱となり内飲が生じて久治するも癒えなくなったのである。
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