おでき・疖(せつ)1
劉××,男,18歳。
2ケ月前から頚項部に疖腫ができた。
少い時は4~5ケ,多い時は7~8ケ,上に黄白色の膿頭があり,基底は硬く根がある。
前医はペニシリン類の薬物と中薬の清熱解毒剤を用いたが,療効はなかった。
脈証には特に変わったところは無かった。
こここで《難経》の言葉を思い出します:“春夏は浅く刺し,秋冬は深く刺すというのは,なぜか? はい,春夏には陽気が上に在り,人の気も亦上に在る,故に浅く取らなければなりません,秋冬には,陽気は下に在り,人の気も亦下に在る,故に深く取らなければなりません。”
太陽経は,人身の大表にして,其の経は項を絡う,だから太陽経穴の血を取るのが宜しい。
急ぎ委中から放血させて治したら,一回で愈えた。
某医云わく:委中を取り放血させたら疖腫が治ったが何故このように効くのか?
答えて曰く:春夏は陽気が上の方の表に在る,前用の薬はみな下の方の裏を治すものばかりだった,病はそこには無い,故に治らなかった。委中の穴とは,太陽経の合穴で能く表を主り上を主る,又能く凉血瀉熱し,活血逐瘀する,故に其の穴位を取って放血させたのである。
中医临证经验与方法 より
※ペニシリンや中薬の清熱解毒剤が下部の裏に行くというのは面白い。
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