おでき・疖(せつ)2
文××,男,55歳。
頭項部に疖腫ができ,あちこちに3~4から7~8ケが出たり引っ込んだりしてもう2年になる。
先ず西薬を1年以上用いて治療したが効かず,后で又中薬の清熱解毒剤を8ケ月も配合してもらったがやはり効かなかった。
疖腫が項部にあると共に,頭暈頭重もあり,時には眩暈のあまり立っていられず,悪心嘔吐し,且つ日毎に健忘と乏力になり,神情は呆癡のごとく,食欲は減り,舌苔白く,脈は濡緩である。
脈証を綜合すれば:脈濡緩で,且つ久病不愈なら,気陰両虚,痰鬱気結,鬱而化火である。治は補気養陰,理気化痰が宜しい。
十味温胆湯加減(黄芪15 当帰・麦冬・党参・五味子・竹茹・枳実・半夏・陳皮・茯苓・甘草・菖蒲・遠志・生地10)
服薬4剤にして,ただ頭暈頭重,神疲乏力,健忘失眠,納呆食減は倶に減っただけでなく,疖腫も亦明らかに改善した,継服10剤もすると,疖腫は全部消失し,他の症も亦七八割方減った,又服すること25剤で,諸証は全て消えた。
某医云わく:諸書はみな疖腫は火毒だという,若し病久しく愈えざる者は気血倶虚が本で,熱毒は標だと云う。然し先用した抗生素,清熱解毒の方薬が効かないのなら,后用の補気養血,清熱解毒も同じく無効なのではないか?
答えて曰く:本病を脈証から看ると,一方では気陰倶虚があり,一方では痰鬱火毒がある,前用した治火の諸方には化痰理気,補気養陰がない;気陰倶虚者を治すのに,理気化痰がなくては,鬱火は解けない,ただ清降だけでは,何が散らせるのかね?
中医临证经验与方法 より
※虚証では清熱解毒だけでは効果が出ない。補気養陰や理気化痰の薬が熱毒を解す役割を担う。
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