おでき・疖(せつ)3
鄭××,男,25歳。
面、頚、肩、臂に疖腫ができ,出たり引っ込んだりしてもう2ケ月になる。
先ず西薬治療を1ケ月して効かず,后に又中薬の清熱解毒剤を1ケ月近く配合したが,やはりあちこちから出てくる。
面、額、頚、項に数ケ紅棗大ほどの疖腫があり,其の中前額の2ケは已に破潰して膿が出ており,其の他の疖腫はみな紅腫疼痛し,且つ頭暈頭痛,煩躁易怒,小便黄,大便干,舌苔黄干,脈弦数である。
脈証を綜合すれば:弦数とは,肝胆実火である;舌苔黄干,大便秘結とは,陽明実熱である。合わせると,乃ち心肝胃火の為すところ。治は清肝瀉火に宜し。
当帰竜薈丸加減(川芎・当帰・防風・竜胆草・大黄10 元参15 羌活6)。又:牛黄解毒丸を水に溶かして局部に塗る。
6日間の薬で,疖腫は消失した。
某医云わく:私が抗生素と中薬の清熱解毒剤を久用して効かなかったのに,先生が僅少量の清熱瀉火薬を用いると治ったのはどうしてですか?
答えて曰く:清熱解毒剤は疖腫を治すには有効な方法の一つです,然し疖の多くは火です,火邪は瀉さなければなりません,ただ解毒しただけでは効きません、これが一つ;火には臓腑経絡の別があります,若し妄りに瀉火を施しても,臓腑を分けなければ,いくら解毒しても効きません、これが二つ;治火に下剤を用いる,通便瀉火が無ければ,いくら解毒しても効きません、これが三つ。
三者が倶備すれば,効かない訳が無いでしょう?
今私が用いた少量の解毒薬が効いたのは,一つには瀉火があり,二つには経絡臓腑の分があり,三つには通下大便があるからです。
中医临证经验与方法 より
※実火はまさに瀉すべし。火邪と毒邪は違うのか!
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