四七湯
2017年10月18日のBSプレミアムで、偉人たちの健康診断「“養生訓”のススメ 江戸の健康名人・貝原益軒」というのが放送されていました。
そこで妻の東軒さんの服用していた処方に四七湯というのが出ていました。
解説者は更年期障害の薬だと云っていましたが、正確には七情の病を治す処方です。
・
芦××,女,50歳。
3ケ月前,突然左側の顔面神経炎になり,針灸、理療、中薬の牽正散などを用いたが好転せず。
1ケ月前,又突然 腹部に悸動がきて,逆気上冲,心悸気短,自汗時出,疲乏無力となった。
動態心電図、心電図、超声心動図等の多くの検査を経て,冠心病、心房繊顫、心室顫動と診断された。
西薬、中薬、電気ショックのどれも無効だった。
驚恐,心悸,腹部悸動,逆気上冲があり,上冲すると胸満心悸,咽喉憋悶気短,頭暈汗出となる,舌苔白,脈沈細弦渋。
脈証を綜合すると,陽虚が本で,痰鬱気結が標である。
治は補気温陽にて培本し,温陽化飲降冲にて治標する。
四七湯(人参・肉桂・半夏・炙草・茯苓10)
服薬2剤にして,諸証は減り,継服20剤で,諸証が消失し,心電図、動態心電図はみな正常となった。
某医云わく:此れは局方の四七湯で,七情の病を治す処方だ,今心房顫動に亦用いたが,理解できない?
答え:汪昂の《湯頭歌訣》に云わく:“人参の補気,官桂の平肝,半夏の祛痰,甘草の和中,どれもみな利気薬ではないのに,湯名が四七となっている,これは四味で七情を治すからだ。”本証はもと気虚,痰飲であったが,今復た気鬱に因って,病となった,だから人参で補気し、肉桂で平肝し、半夏で祛痰し,甘草で和中して治したという訳です。
中医临证经验与方法 より
※心臓のことゆえ活血に拘りやすいが、ここは通陽することによって本治している。
また張錫純は桂枝の補肝陽作用(行血)を血分の疏肝に当ると説明している。
「治験」カテゴリの記事
- サイトカインストーム3(2021.01.14)
- サイトカインストーム2(2021.01.13)
- サイトカインストーム1(2021.01.12)
- コロナ闘病記より(2021.01.07)
- 膀胱の気化とは何か?(5)(2020.09.26)
Comments