地黄飲子2
智能発育不全 石××,男,6歳。
母の代訴:患児は已に5歳になるが,まだ数ケ月の小児の様相である。
頚部は軟弱で頭部を支撑できず;坐っても、爬っても、立っても同齢の小児よりも遥かに劣る。
両眼は常に凝視しており,手で物を握拿できず,腿は路を歩けない。
また話せないし,只簡単な音調で喜怒を表示するばかりで,舌は常に半ば口から出している。
これまでに北京、西安、太原等の医院に求治して,遺伝性智能発育不全と診断され,針灸等の治療を受けたが,効果は無かった。
患児の母の両方の叔父と患児の両方の叔父も同じ病を患っている。
両眼は癡呆のように,凝視しているが何も見ていない,喋らず,上下肢はいつも動かしている。
手に物を握らせてもすぐに放してしまう。
立たせると手足は固定せず地に倒れ,大小便はオムツの内でし,自分で排便できず,自分で食物を掴めない。
舌苔は白く,手足は厥冷し,脈は沈細弦である。
脈証を綜合すれば:此の病は先天のもので,腎精不足,心肝倶虚,痰湿阻竅である。
治療法は補益肝腎,化痰柔筋とする。
地黄飲子加減(熟地10 山萸肉・石斛・麦冬・五味子・菖蒲・遠志・茯苓・肉苁蓉3 桂枝2 附子1 巴戟天4)
服薬10剤の后,手で支えれば暫くは立つことが出来るようになった,毎回数秒~四分間である,継服すること20剤で,周囲の事物に反応し始めた。
又服薬すること60剤の后 同齢の児のように歩けるようになった。
また爸爸、媽媽と声を発することも出来る。
もう空腹を知らせるし,ひとりで1、2、3、4、5、6、7、8、9、10と数えることも出来る。
又服薬すること20剤で,患児は介護人に手を振り“再見”とか“爺爺好”と云う。
療効を鞏固にするために,以上の処方を散剤にして,3日に1回服用、1回は5グラムとする,煎服服薬してから一年もすると,諸証は消失して愈えた。
中医临证经验与方法 より
※先天不足の病でもこのように改善できるのはありがたい。まして、その他の病などは‥‥。
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