地黄飲子3
原発性側索硬化症(ALS)
張××,男,24歳。七、八年来,腰腿が冷え、困(重い)、僵(強ばる),歩行困難だったが,最近は日毎に重くなっている。
これまでに太原、包頭、フフホト等の医院で原発性側索硬化症と診断されている。
繰り返し入院して治療を受けたが無効で,已むを得ず中医の治を求めた。
顔色は萎黄で,疲れやすく食欲不振,咳嗽や頭脹,腰腿冷え、強ばり,歩行困難,他の人の扶けが無ければ歩けない,筋肉は正常で,腱反射が亢進し,バビンスキー反応は陽性,脳脊液は正常,舌苔は薄白く,脈は沈弦細緩である。
脈証を綜合すれば,寒湿が経絡に客すること,久しくして病が腎に及んでいる,先ず宣肺除湿通陽の,杏仁薏苡湯※1を与えた,服薬8剤にして,諸証は好転した;加木瓜9g、淫羊藿3gとして肝腎を補う,服薬28剤の后,歩行は大いに改善され,正しい歩き方でどこへでも自在に行けます。
前后して服薬すること36剤の后,体重は4Kg増加し,顔色の萎黄は消え,微かに紅潤色になり,舌苔は白く,脈は弦細で尺は稍大,食欲や睡眠は正常になった。
然し病程が長いので,腎命を補うために,地黄飲子加減を2ケ月服用して,諸証は消失した。
后に又一例の原発性側索硬化症に出会い,復た上方で治したが,無効で,反って悪くなった。
細かく証を調べると,両腿の発僵,歩行困難が5年以上続いており,顔色は白いが頬が嫩紅で,汗が多く,舌苔が薄白く,舌質は嫩紅で,脈は虚大弦滑だった。
脈証は気陰両虚,湿熱傷筋の証である,そこで芪脈湯※2を30剤与えたら諸証は大いに減り,60剤の后には歩行が正常になった。
中医临证经验与方法 より
※1(杏仁・生薏苡仁10 桂枝・生姜2 厚朴3 半夏・防己5 白蒺藜6)
※2(黄芪15 当帰6 人参・石斛・麦冬・五味子・蒼朮・黄柏・木瓜10)
※杏仁薏苡湯はまた進行性筋ジスに対しても経絡への寒湿鬱阻と考えて可也の効果を挙げている。
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