地黄飲子5
脊柱裂(先天性奇形) 欧××,男,12歳。
小便失禁と遺尿が7年も続く。医診では脊柱裂とのこと。
西薬治療や中薬の活血逐瘀と針灸配合も効果がなかった。
小便失禁や遺尿のほかに,右腿の疼痛と,筋肉の萎縮のため,時には歩くのが難しい,右足が挙らない,食欲不振,足の指が厥冷,舌苔薄白,脈沈細弦。
証脈を合参すれば,肝腎陰陽倶虚である。培補肝腎の方針で、
地黄飲子加減(生地・石斛10 麦冬6・肉苁蓉6 肉桂・附子2 木瓜6)
其の父は医の心得があり,云わく:患者の腿痛筋痿は瘀血ではありませんか? 然しどうしてそれが効かなかったのか?
答え:疼痛には瘀血からくる者もあり,それは活血薬で止痛ができます。然しみなが瘀血によるものではありません,故に中医の止痛には祛風止痛,理気止痛,温経止痛,補気止痛,補血止痛などがあります。
此の証が活血しても止らなかったのは,本証の痛みが瘀血によるものではなかったからです。
又問う:医家の多くは小兒は純陽の体だと云うが,先生が附子、肉桂などの純陽の品を用いるのは,何故ですか?
答え:小兒純陽について,多くの後人が訂正しています:稚陰稚陽の体の,稚とは,幼稚のことで,容易に虚にもなり実にもなるという事で,温熱薬を用いてはならないという事ではありません。本病の腿痛、筋痿、遺溺とは顕らかに腎の陰陽倶虚ですから,上方で治すのです。然し用薬を長く続けると陽熱が浮動する恐れがあるので,熟地の温ではなく,生地の凉を用いて佐けとします。
服薬6剤にして,腿痛は好転し,以前よりも力強く歩けるようになった。
継服すること40剤にして,腿痛は尽く消え、筋肉も豊満になり,ここ一ケ月は遺尿をしていない,又服すること60剤で,諸証は消失して,すべて愈えた。
中医临证经验与方法 より
※先天性の奇形でも弁証できれば必ず何らかの方法があるのは嬉しい。
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