杏仁薏苡湯
進行性肌営養不良症(進行性筋ジストロフィー)
この極めて頑固で難治の疾病を,私は曽つて芪脈湯、地黄飲子及び保和丸加益気養陰剤を以って暫時の効果を得たことがあるが,然し久しく用いてもそれ以上の効果は得られなかった。
患者 張××,男,19歳。
2ケ月前に突然四肢無力を感じ,3日后には四肢の活動が甚しく困難になり,急ぎ某院にて入院治療となった。
診断は多発性神経炎、入院2ケ月になるも,病情に改善はなく,躯干の筋肉は消痩し,改めて進行性筋営養不良症と認められた。
歩行や日常生活がすこぶる困難である。
そこへ私の出番になり,急ぎ芪脈湯を10剤与えたが,症状は変わらず,反って更に食欲が減った。
詳しく証を観察すると:躯干、上下肢の筋肉の明らかな消痩の外に,手足は厥冷し,舌苔白く,脈は沈細緩である。
脈証を綜合すれば:寒湿不化の証である。
杏仁薏苡湯(杏仁・薏米9 桂枝1.5 生姜3片,厚朴3 半夏4.5 防己5 白蒺藜6)
服約すること10剤で,患者は自分で立って,歩けるようになり,筋肉も少し豊満となった,継服すること200剤以上,諸症は基本的に消失した。
中医临证经验与方法 より
※筋ジス発病の当初なら或いはこのようにうまくいく場合があるのかも知れない。遺伝病であってもそれは何かのきっかけと結びついて発病するのだろうから、既成体質と諦めずに弁証して食い止められれば幸いだ。寒湿がきっかけとなっているのならその条件を阻止すればよい。
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