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帯脈拘急

生理痛と一口に云っても腹痛・腰痛・頭痛・下痢など人によって様々でしょう。
一般には経行腹痛(痛経)と経行腰痛が多く語られています。
腹部と腰部では痛みの部位が異なれば中医学の弁証も異なります。
それらを一まとめに治すことは出来ないだろうか、と考えていたら出てきましたよ。
「帯脈拘急」です。
以前「芍薬甘草湯と高プロラクチン血症」の記事で、次のように書きました。
帯脈というのは文字通り腰の周囲を桶のタガのように輪状に回っている経絡です。
そして腰から下の各経脈を吊り上げる働きをしています。
帯脈が拘急して締めつけ過ぎるのも良くないし、反対に弛緩して下垂させるのも良くありません。
また帯脈は任督衝3脉を監督するので婦人科疾患とも深いつながりがあります。
帯脈とは奇経八脈の一つですが帯脈だけは他の経絡のように上下に周流しないで,横に帯のように束ねている経絡です。
帯脈の病機は《難経 》第二十九難では: “帯の病いは, 腹満して,腰が溶溶として水中に坐する若し”とあります。
また《傅青主女科》には“帯脈は,腰臍の間にありて,弛むのが宜しく急なるは宜しからず,帯脈が急となれば,腰臍の気は不利となり,腰臍の気が不利となれば,脾胃の気が不足する。”
肝気が長期に鬱滞して,条達の性を失えば,帯脈は気機不利となり,緊束して急迫の症を生ずる。
この肝鬱不舒が,中土に横逆すると,脾胃受伐を導き,気血は不足となり,さらに腰臍の気を不利とし,帯脈を拘急不舒とする。
“少腹の間に緊迫の状があれば,急して不舒となる”それが不孕の原因である。
このような証には,“脾胃の気血を大補し,帯脈を寛げることが大切である”と傅氏は強調している。
そこで出現するのが 寛帯湯《傅青主女科》です。
病例:患者王某某, 女, 65歳, 農民, 1994年7月18日初診,
患者には素もと高血圧、冠心病の病歴があり,平素から姑との仲が良くなかった, 性格も内向的で,あまり喋らない。
最近 腰臍の間に緊束不舒, 少腹急迫を感じ, 衣服を寛めても少しも緩解しない。
食欲不振、腹脹、尿少、便溏, 頭暈、胸悶憋気、顔面及び下肢浮腫、舌胖大、色淡、苔厚膩、脈弦数、面色は黎黒である。
中医辨証は肝鬱脾虚, 帯脈拘急であり, 疏肝健脾,益腎緩帯を治法とする。
寛帯湯加味(党参20 白朮・巴戟肉・五味子・補骨脂・麦冬・建蓮子・肉苁蓉・当帰10 白芍15 杜仲・熟地・牛膝・車前子10 白茅根20 甘草6)
服薬 1剤で帯脈拘急の症状は大いに減り, 尿量は増多し, 3剤の后には少腹急迫の症状は消失し, 精神状態は明らかに好転し, 浮腫は消通し, 身は軽く気爽やかになった, 継服すること 3剤を以って療効を固める。
 腎着湯等の薬を投じても未効のものに試みる価値あり。
   寛帯湯臨証挙隅 より

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