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妊娠悪阻と桂枝湯

《金匱要略》には妊娠嘔吐に桂枝湯と乾姜人参半夏丸が挙げられています。
桂枝湯といえば営衛不和に対する方剤ですが、何故つわりに効くのか?
余勝吾医案:劉某某,24歳,1963年12月6日初診。
月経が3ケ月間途絶えており,四肢は酸軟無力で,悪心嘔吐して,渇しても飲みたくはない,口淡で食べ物に味が無く,飲食を思わず,眩暈し,嗜睡眠,形寒く発熱し,脈は滑で細,舌苔薄白である。
そこで桂枝湯1剤を与えた。
薬后に諸症は減軽したようで,脈は滑で弱,舌質は淡紅となった。
続いて桂枝新加湯を2剤与えたら,症状は消失した。
次の年の七月に分娩して,産后も健康である。(浙江中医雑志1965;(8):26)
按語:本案は脈証を参合すれば,営衛不和で,営血不足が主である,故に新加湯を用いたのは調和営衛を基礎とした上に益気和営をしたことに在る。
   伤寒名医验案精选 より
※営衛不和とは衛強営弱のことで、営弱(営血不足)が主因である。
営血を補うには脾胃を強くしなければならない。具体的には胃の降気作用と脾の升陽作用を強くすることである(健脾升清、和胃降濁)。
それをなし得るのが桂枝湯である。
桂枝新加湯とは桂枝湯に「芍薬・生姜・人参」を増加したものであり、営血の生成力はより強化されている。
また妊娠すると何故つわりが起きるかといえば、受胎すると月経による出血が無くなるので衝脉の気が旺盛となり上逆しようとします。
その上逆のせいで胃の降気作用が妨げられ、つわりとなるのです。
すなわち桂枝湯の営衛調和とは衝気の上逆を抑えることでもあり、営血を補うことでもあるのです。

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