偏頭痛-葛根湯
劉渡舟医案:李某,男,38歳。
頑固な偏頭痛を患って二年,久治するも愈えず。
主訴:右側の頭痛で,常に前額及び眉稜骨に連及する。
また無汗悪寒,鼻流清涕,心煩,面赤,頭目眩暈,睡眠不佳を伴う。
診察の時に,病人の頚項が転動不利のようだったので,問えば答えて曰く;頚項及び后背経に常に拘急感があり,頭痛の甚しい時には拘緊が更に重くなる。
舌淡で苔白,脈は浮で略数。
そこで寒邪が太陽経脈に客し,経気不利の候と辨じた。
治は当に発汗祛邪により,太陽の気を通ずべし。
葛根湯:麻黄4,葛根18,桂枝・白芍12,炙甘草6,生姜12,大棗12枚。
麻黄、葛根の両薬を先に煎じ,上沫を去り,服薬后は覆いて微汗を取り,風寒を避ける。
3剤の薬后,脊背に熱感が起こり,継いで身に少し汗が出,頭痛、項急は続いて減じた。
原方を再服して,15剤に至りて,頭痛、項急の諸症は皆愈えた。[《劉渡舟臨証験案精選》1996:134]
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按語:本案の脈証や病機は,葛根湯証に合っている。臨床では本方を服用后に,常に脊背に先ず熱感を覚え,継いで全身から汗が出る。これは薬力が先ず経輸に作用して経気を疏通せしめるや,邪気が外へと出ていくことの反映であり,疾病が治癒に向う佳兆である。
伤寒名医验案精选 より
※葛根湯が効いたか効かなかったかは脊背の熱感と発汗で分かる。
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