眼筋痙攣ー桂枝甘草竜骨牡蛎湯
郝文軒医案:李某,女,30歳,1986年2月15日診。
左眼瞼の跳動が,三ケ月も愈らない,西医の診断は眼筋痙攣(目瞤)だが,治療の効が現れない。
舌質は正常で,無苔,脈細にして数,胸が煩躁し,唇は淡で食欲もある,小便は清白で便通は良い。
自ら云うには 病后に服した蚂蟻、全蝎等の虫薬は反った悪化したと。
此れは虚風妄動であるから静なるもので動を制するのが宜しい,竜牡を使いましょう,
今までのように虫類で捜風しようとすると逆に,其の気は益ます緊張する,道理でいくら投与しても効かなかったわけだ。
余は仲景の桂枝甘草竜骨牡蛎湯を与え,復陽寧風し,并せて白附子を加えて頭面に引入したら,2剤で愈えた。
《内経》に云わく;“陽気は,精なれば養神し,柔なれば養筋す”,神が安んずれば筋は柔らぎ,筋は再び動かなくなる。[安徽中医学院学報 1988;(1):30]
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按語:本案の眼筋痙攣には煩躁、脈細数等の症があった,これは虚陽内擾生風の象である,“風勝れば動く”,故に桂甘竜牡湯を用いて温復潜鎮させたら,陽が立ち上がり風は息み瞤動は自ら止った。
伤寒名医验案精选 より
※血虚生風や陰虚風動には虫類で捜風する場合があるが、これは虚陽生風であり虫類だと逆効果になる。また白附子は附子ではない。
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