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胃痛便秘ー理中湯

兪長栄医案 黄某,女三十五歳。
水腫病を患い 新たに瘥えたところ,面部には仍お軽微な浮腫があり,面色は淡黄,唇色は不栄。
近日 胃脘が痛み,綿綿として休まず,口中は干燥し,大便は三日未通。
脈象は沈渋で,舌白く干いている。
我は理中湯を立案した,方用:党参12,白朮9,干姜6,炙草9。
門人が問うには:口燥便秘に理中湯を用いるなんて,燥結を更に甚しくするのではありませんか?
我説く:此の証は乃ち脾虚中陽不振,運化失司,水津不布である。津液が上輸しない,故に口燥舌干となる;下行しない,故に大便秘す。是れは太陰の裏が虚寒である,陽明の裏の実熱証ではない。それは患者の往病史や当前の面色、脈象から知ることが出来る。其の痛みは綿綿として休まず,腹には鞭結が無く,按んずるを拒まず,是れ虚痛なり。故に理中湯を用いて温中健脾し,脾陽を振奮させて,津液が行れば,症状は即解除するだろう。
次の日の復診では,大便は已に通じ,口舌は潤に転じており,胃脘痛も同じように減っていた,後は六君子湯を与えて善后とする。
按語:本例の口燥便秘なのに理中湯を用いた,根拠は“塞因塞用という,反治法の原理からである。診断の鍵は病因、病情の分析に在る,寒熱、虚実のいずれに属するかを辨別するのだが。虚寒に属すれば,本方を用い;実熱に属すれば,お考えのように承気湯を用いる。“手元で一ミリ違えば,先へ行って千マイルの違いになる“,から辨証論治は疎かにしてはならない!

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