食后嗜睡ー桂枝加桂湯
謝富晋医案:邓某某,女,18歳,1987年2月6日診。
1986年7月から始まったのだが,明らかな誘因が無いのに食后の倦怠思睡が出現し,その都度30分以上は睡らずにはおられず,醒めた后はいつもと変わらない,
頭暈目眩を伴い,面色は蒼白,神倦乏力,四肢不温,時々発熱し,自汗,舌苔白くして微膩,舌は淡紅,脈は濡緩である。
桂枝加桂湯:桂枝15,白芍10,炙甘草6,生姜10,大棗5枚,3剤,日1剤,水煎服。
服薬后には僅かに20分間伏すだけで目醒めるようになった,
再び原方5剤で,服后には食后に睡らず我慢が出来るようになった,
だがまだ食后の困倦思睡はあるので,又服すること8剤で,諸症は消失した。
一年後に訪ねると,再発はしていなかった。[四川中医1993;(5);36]
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按語:人の寤寐と衛気の運行と陽気の盛衰とは密切な相関がある,
《霊枢・大惑論》に云わく:“衛気は,昼日には常に陽を行り,夜には陰を行る,故に陽気が尽きれば臥し,陰気が尽きれば寤る。”
本案の嗜睡は食后に起こり,醒めた后は常人の如しだから,これは食后多寐である。
其の原因は脾陽不足が衛気の運行に影響しているのと関係がある,どうしてそう言えるかって?
頭暈目眩,面色蒼白,神疲乏力,四肢不温,自汗,舌淡苔白だからだ。
故に桂枝加桂湯で陽気を振奮し,営衛を調和すれば,愈える。
伤寒名医验案精选 より
※桂枝加桂湯は『傷寒論』では“奔豚病”に使う処方です。奔豚病と食后嗜睡では全然違った病気なのに、なぜ食后嗜睡が桂枝加桂湯で治るのか?
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