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胃脘痛ー桂枝去桂加茯苓白朮湯

畢明義医案;徐某某,男,27歳,1989年8月29日初診。
上腹部の疼痛が18年,重くなって2年。
患者は9歳の時に水餃子を食べ過ぎて脘腹脹満を感じ,同時に腹瀉したが,治を経て腹瀉はすぐに止った。
此の后より,腹部は常に脹満し,酸水を吐き,飲食は明らかに減少し,反復して吐血、便血もある,
上消化道出血は手術で治療したが,術后でも胃脘疼痛は仍お反復して発作があり,何回も入院した。
シメチジン、204胃特霊、保和丸、参苓白朮丸等の薬物を服したが,効果は顕れず,受診しに来た。
カルテ:空腹時の疼痛だけでなく,飲食が胃に入った后にはいつも,即刻疼痛がある,
時には西瓜の汁を飲んですぐに疼痛を感じたり,更に甚しくなると,水を飲んだり、茶を飲んだりする度にすぐに心口に隠隠と痛みを感ずる。
仰臥した時は,上腹部に脹満感があり,物が堵っているようで,大便が排出されても変わらない。
面色は萎黄で,精神は萎靡して不振である。
舌質は稍淡,舌体は大きく,苔は薄白く、微黄で滑,辺には歯印がある。
右脈は浮弦,関は虚大,左脈は沈弦。
この胃脘痛は,脾胃の気虚型である。
桂枝去桂加茯苓白朮湯:炙甘草15,白芍・白朮・茯苓50,大棗30,生姜50。
3剤の后に疼痛の大半は減り,飲食も前に較べて増え,脹満は明らかに軽減した,
上方を仍お3剤服して,疼痛は止り,脹満も除かれた。
療効を鞏固にする為に,仍お上方を10剤服したら,疼痛は以来起こっていない。[中国医薬学報 1990,(5):49-50]
按語:本案の胃脘痛が虚証に属することは,久病体虚,空腹疼痛,痛んで按ずることを喜び,脈虚にして気怯なるを以って辨ぜられる。
本方を以って治療するのは,臨床の常規に符合しないように思われるかもしれない。
だが其の実は,桂枝去桂加茯苓白朮湯の主症は“心下満,微痛”であり,鍵は其の“微痛“の症にある。
“微痛”とは,即ち微微にして痛む,乃ち隠痛の変詞であり,隠痛とは虚性の疼痛で,多くは脾胃の気虚からくる。
心下満”の症には,有形と無形の分がある。
無形の満の,多くは病が気に在り,常に肝気が横逆犯胃している;有形の満の,多くは病が積に在り,常に水積と食積からなる。
然し何型の“満”であれ,みな“病者の腹満が,按じて痛まざれば虚なり”(《金匱要略》)であるから,此の方を用いる事ができる。
本方の主治及び配伍は,正に“心下満にして,微痛する”証から設定されている。
方中の茯苓、白朮は,水積を治し,食積を治す,二薬は相伍して,健脾利湿となり,“心下満”を去る;炙甘草、白芍は相配して,酸甘化陰し,緩急止痛する;生姜は行気散水する;大棗は補脾和営となる。
本方は補が主で,攻実を兼ねており,虚中挾実の“微痛”と“心下満”に対して適している。
※茯苓、白朮が積実を攻めるのに使われている。

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