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吐血ー甘草干姜湯

趙守真医案:王某,素もと吐血の痼疾あり,清凉渋止薬を服せばすぐに癒えていた。
今夏復た発し,前薬を進むも応ぜず,その后温補や消瘀薬を雑進するも,亦応ぜず。
吾が診し時も,血は尚散発的に出ており,色は黯くて稀,又時々微咳あり,頻りに清涎を吐く,口淡,食納不佳,小便黄。舌は潤滑で無苔,脈は濡緩。
これまでの服方を検視すると,寒温兼備だが,然し既に熱証には非ず,梔芩は用いるべからず,又元陽の衰損には非ず,衛気は不斂だから,桂附も亦宜しくない。
其の脈は濡緩で便溏から脾虚だが甚しくはない;咳して頻りに吐涎するのは,乃ち肺寒だが未だ虚してはいない。
如し此の証情に,六君子湯加炒側柏、焦荊芥などを与えれば,五進もすれば血は仍お吐きて,久しく解しないと思われる。
旋憶及び陳修園氏の三字経の吐血章に“温摂法,草姜調”の言がある,だから六君参朮では過補になり,甘草干姜湯の温肺補脾には及ばないと悟らされる,これはいわゆる補しても固めず,温めても燥かさずでなければならない。
処方:炙甘草18,干姜(炮成炭用)9。水煎温服。
4剤で,吐血に少し間があるようになった。
三剤を再服して血は全く止った,后は飲食で調養し,未だ別に服薬はしていない。[広東中医 1962,(9),13]
按語:秦伯未著の《秦氏同門集》に:“若し痼疾で久吐の者が,其の本は己に虚し,其の気に寒多く,しかも其の勢いが較緩なら,治療は温補が主となる。”
血が経道を循るに,温を得れば行り,冷に遇えば凝する,だからといって寒凉を用いれば,能く一時的に暴吐を止めても,然し脈外に溢れた血は,必ずや寒凉に因って瘀滞して行らず,血行を阻碍する,吐血は已まず、必ずや人を愈すことにはならず、医の過ちとなる。
本案の吐血は,脾肺虚寒の象であるから,憶陳氏の“温摂法,姜草調”の訓が宜しい,甘草干姜湯で太陽の陽気を温め,血行を固摂させれば愈える。
※脾虚肺寒の吐血に対して六君子湯加味だと過補になり吐血を固めてしまうとして、甘草干姜湯という簡易な処方を選んでいる。

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