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遺尿ー甘草干姜湯

趙守真医案:劉某,男,30歳。
遺尿証を患い久しくなる,日中は時々遺出するのだが,夜は間無しに遺尿があり,悩んでいる。
医は腎気虚損として,温腎滋水に桂附地黄湯を用いたり;或いは補腎温渋にと固陰煎を用いたり;或いは脾胃虚寒にと黄芪建中湯、補中益気湯を用いたりした。
其の他に鹿茸,紫河車,天生磺(天然硫黄)の類も,これまでに試してみたが,効いたり効かなかったりで,久しく用いてもやはり治せなかった。
前服の諸方を見ると証に合うものは無く,これでは効かないわけだ。
脈を細診すれば,右の寸関が皆弱い。
舌白く潤で無苔。口淡,咳して唾涎を吐くことも無い,口納は少し減っている。
小便は清長で時々遺し,夜は甚しい,大便は溏薄である。
これは腎脾肺三臓の病である。
但し補腎温脾の薬は,屡服しており,未だ服していないのは肺経の薬だけである。
復た消渇の証を思うに,肺は水の高源であり,水が気化しなければ,腎に下注する,また脾腎が約制し合わなければ,関門洞は開いてしまう,だから治肺こそが首要である,本証も亦そうであろう。
景嶽の説に:“小水は腎に利すと雖も,腎は肺に上連する,若し肺気が無権なら,腎水は終に摂することが出来ない。故に治水には必ず先ず気を治すべし,治腎には必ず先ず肺を治すべし。”
本証病は腎に関係するが,温肺により化水する治法がある。
又甘草干姜湯証には原より遺尿もあるから,これが何よりの借用の根拠である。
処方:甘草干姜湯。炙甘草24,干姜(炮透)9。日に2帖とする。
3日后,尿遺は大いに減り,涎沫も亦稀となった。再服すること5日にして諸証は尽く除かれた。
然し8日間に16帖を服薬したのだから,此れは難治の証であった。誠に所定の分料では及ばなかった。[広東中医 1962;(9):14]
※一日に甘草48gとは驚異ですが、証に合えば良いのですかね。

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