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悪寒不解ー桂枝去桂加茯苓白朮湯

劉亜光医案:李某某,男,58歳,1989年3月14日初診。
患者は1989年の春節期間にたまたま風寒に感じて復た油膩に傷つき,頭痛咳嗽,悪寒無汗の症となった。
これまでにAPc、ジピロン等の西薬を服し,并せて中薬の解表発汗剤をも服用したが,始終汗解を得ず,反って頭痛悪寒等の症が加劇するのを覚えた。
頭痛項強,骨節酸楚,悪寒が特に甚しい,毛皮の帽子や毛靴を身につけても,仍お嗇嗇として寒顫する。
咳嗽を伴い胸脘へと掣痛し,痰多く咯し易い,初めは白稠痰を吐いたが,継いで痰は稀く水みたいになり,脘悶納呆,舌苔は白潤,根部が較厚,脈は浮にして緊。
脈症から分析すれば,風寒束表,肺気失宣であるので,葛根湯加味を与えた。
次の日の再診では:服薬后に熱粥一碗を食し,棉衣で温覆して,一時的に温かくなったが,未だ汗はかいていないし,諸症に変化はない。
余は甚だ合点がいかず,再三詢ねると,前症の外に,なお小便が頻渋し,少量で黄色いと云う,それで水気内停があり,太陽経気が阻まれ,肌表に敷布されないのだと悟った。
《傷寒論》に云わく:“桂枝湯を服したり或いは下したりして,仍おも頭項強痛し,翕翕として発熱し,汗無く,心下満し微痛,小便不利なら,桂枝去桂加茯苓白朮湯が之を主る。”
然し此の患者は,発熱の症が無くて,悪寒の徴がある,是れは水停経滞が甚しいからだ。
故にこの処方から桂を去らずに,陽を通利させ,且つ苓朮と桂枝が合わされば,利水の力は更に勝る;復た咳嗽痰多,納呆脘悶につき,杏仁、白蔻を加え上中二焦の気機を利宣し,苓朮の利水化湿を助けよう。
桂枝・白芍9,茯苓12,白朮10,杏仁9,炙甘草3,白蔻6(后下),生姜10,大棗5枚。水煎2回,取汁混合,分3回温服。
3月16日三診:上方を一服して約半時許りすると,小便は遂に通じ,半日で小便が9回あり,溺は清長で滞渋せず,悪寒が始めて罷み,諸症もこれに随って減じた。
今は僅かに微咳頭脹するだけである,前方から桂枝を去り量を減らして,再剤して瘥えた。[国医論壇 1991,(2):封四]
按語:風寒が表に在れば,汗によって解すべきである,然し本案は発汗させようとしても,発汗しなかったのは,表邪ではなかったからだ。
悪寒の外に,痰多、脘悶、納呆、苔白、脈緊の証があったのは,痰水内停の故である。
痰水内停して,太陽経気が外達するのを遏阻するために悪寒していた,
表証があっても,裏証の方が主で,裏気が不通ならば,表も亦和し難い。
正に《傷寒医訣串解》の所説の如し:“膀胱の水が行らなければ,営衛は不調となり,汗を作す能わず……水が下焦に在る。”故に治すには“引けば竭きる”で,小便を流利させる法を用いれば,自ずと奏効するはずだ。
※いくら体表を温めても汗解しなければ痰水内停を疑う。

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