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高処から落下一小承気湯

張生権医案:吉某,男,22歳。
一ケ月前に,患者は6米の高処から落下し,腰部劇痛,双下肢の活動不能となり,翌日には二便閉となった。
X線:腰1椎が楔改変を呈し,椎体の圧縮は約2/3,并せて後方に凸畸形がある。
某県の人民医院へ送られて入院。
入院后ずーっと灌腸、導尿で二便を排出している。
治療して1月余になるが,病情は好転せず,我が科に転来した。
検査:腰1椎部に后凸畸形,圧痛明顕,右下肢筋力I級,右踝下垂,左下肢筋力0級,肛門、提睾、双膝と跟の腱反射は消失,少腹部には手で触れる多数の硬性包塊あり,二便閉,舌質紅,苔微黄厚膩,脈沈細有力。
証は腑気不通,濁気内擾,清陽不升,四肢失養。
急ぎ小承気湯を投じて腑気を通じ,濁陰を降させ,清陽を升げて,肢体に温煦充養を得させる。
 大黄(后下)25 厚朴15 枳実10。
服薬して三時間后に,腹部に気の躁動を感じた。
翌日に上方加車前子10,木通15を再進した。
服薬2剤后に,数枚の燥屎団塊を解出し,小便も亦自然に排出し,同時に右下肢筋力は4級まで恢復し,左下肢筋力は3級まで恢復した。
その后虎潜丸を数剤服し,一月余り后に歩いて退院した。
半年后の随訪では,患者は已に生産労動に参加していた。[四川中医 1988;(2):44]
按語:高処から落下し,瘀血が内留し,督脈を損傷した。
故に腰背が劇痛し,双下肢が活動不能となった。
督脈は人身陽脈の総司であり,督脈が受損すると,陽経は不利となる。
若し陽明経が阻まれれば,病は腑に及び,大腸の伝導が失常し,大便不通となる;太陽経が阻まれれば,腑に波及し,膀胱の気化不解となり,小便が出なくなる。
治は通利法が宜しい,《素問・繆刺論》に指出す:“人が堕墜すると,悪血が留内し,腹中が満脹し,前后が得られなくなる,先ず利薬を飲むべし。
臨床で骨傷病人に対して,特に脊椎、股骨の骨折等では,最も瘀血を内留して、二便が不通になり易い,治療時には承気輩を先ず選ぶのが宜しい,此の輩は単に陽腑を通じて陽経を通暢するだけでなく,且つ活血化瘀、通経此痛の功を具有するので,一挙両得と謂える。
本案は病程日久と雖も,ただ二便不通と,脈沈有力の証が在れば,“間者は并行し,甚者は独行す※1“(《素問・標本病伝論》)の原則を根拠として,急ぎ小承気を投じて通腑瀉濁,通経活血,濁邪尽去させれば,諸症は愈える。
※1 間者とは,病勢が緩やかで軽ければ,症状が多いことを指す;并行とは,主薬、佐薬があるような方剤を指す。
如えば咳嗽が日久しく,痰白きが多く,容易に咳出し,胸悶え悪心し,大便が不実で,舌苔が白滑で膩なら,主薬、佐薬を具備した“燥湿化痰”法を用いなければならない。
甚者とは,病勢が危急厳重で症状が少いことを指す;独行とは,専一有力な方剤を指し,救急に用いる。
如えば突然出血して止らず,面色晄白,気短脈微,陽気が脱せんとすれば,専一有力な独参湯を用いなければならない。
※2 こういう時に虎潜丸が使える!

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