« 咳(咯)血一猪苓湯 | Main | 嘔吐一調胃承気湯 »

咳嗽一猪苓湯

劉懐徳医案:患者王某某,男,60歳。
日頃から体が弱く,嗜烟もあった,感冒に因り咳嗽して一ケ月余になる,前医はエリスロマイシン、魚腥草にて四五日治療したが無効だった,
症状は咳嗽時に少し黄色がかった白痰を,咯出するが出難い,口は微渇,胸悶し,舌紅く無苔で津が多く,脈は細濡である,
吾は始め表邪が入裏化熱して,肺胃陰を耗傷していると考え,沙参麦門冬湯加減で治そうとした。
しかし薬后に諸症が減らず反って気短となり,痰が粘膩稠白となり,不欲食,大便溏となった,
しばらく細思して,これは水熱互結の咳嗽ではないかと,《傷寒論》に云わく:“少陰病下利して六七日,咳し嘔渇し,心煩して不得眠には,猪苓湯が之を主る。”
潤燥清熱利水するために,
 猪苓湯:阿膠30,猪苓12,茯苓1O,沢瀉6,滑石24。
上方を2剤服した后,諸症は大いに減じ,舌苔は紅潤となり,脈は細緩となった。
再び脾肺を調理する剤を与えて愈えた。[山西中医 1987,(3):25]
按語:本案の患者は咳嗽して一月余りになり,舌紅く無苔となり,陰傷の象は疑い無いが,沙参麦冬で何故効かなかったのか?
どうも邪実の一面を見逃しているようだ。
特に咳嗽が黄痰を伴い,胸悶して開かず,痰熱が内に存ることを見逃している,
これを単に潤燥するだけでは,必ずや実を実する弊害となる,
原証が痊らないだけでなく,反って下利、不食、咯痰粘膩等と新証が増えたではないか。
これは陰虚に痰湿熱が加わった患である,
猪苓湯にて滋、行を并施するのが,正しい対処法である,之を投ずるや果して所期した通りになった。
実際,《傷寒論》第3l9条の猪苓湯証中に咳嗽の一候がある事から,益ます仲景の方書が信じられる,結果から見ても,之を用いなければ,好い結果にならなかっただろう。
※前項で「腎経が膀胱へ気化しなければ,膀胱への水は上行して痰となる。」とあったように、腎と肺は水金の関係で非常に近い。膀胱咳といって咳して尿をちびるのもあるし。

|

« 咳(咯)血一猪苓湯 | Main | 嘔吐一調胃承気湯 »

治験」カテゴリの記事

優良処方データーベース」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 咳嗽一猪苓湯:

« 咳(咯)血一猪苓湯 | Main | 嘔吐一調胃承気湯 »