寒が少陰に直中
中寒治案六則-3
ある冬月に陰寒に直中した,吐き泄し,身に発熱あり,人は傷寒の伝経症だと謂うが,寒が少陰に直中したとは知らない,伝経には非ざる也。
陰寒に直中すると,原より身熱は無いはずなのに,なぜ熱くなるのか?
此れは正に陽と陰との戦いで,邪が旺で正が弱く,斗争して熱を成すのである。
若し伝経による少陰症なら,必ず数日后に始めて吐瀉する,未だ初感一日で身熱し,上吐下瀉している,故に直中であり,伝経には非ざる也。
直中は,邪が裏に即入する;伝経は,表より裏に入る。
人参附子茯苓湯:人参10 茯苓5 附子1銭。
一剤で吐瀉は止り,身熱は退いた。
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鐸按:どうして其んなに速いのか?
此の症はもと陽気が弱く,陰気が盛んなるに因る,故に発熱した。
陽気を助けて,陽気が旺んになり,陰は自ずと衰えた。
又佐となった附子は勇猛で,囲敵を突破し,容易に成功へと転じた。
且つ茯苓は水気を分消し,胃土が安きを得,上下の間に陽気が升降した,陰邪はもはや冲決できない。
紹派傷寒名家験案精選 陳士鐸医案より
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