命門火冷
中寒治案六則-4
ある陰寒の直中で,腎が独り受け,身と手が顫えた,人は寒が骨中に入ったと謂うが,誰も命門の火が冷え,陰寒を外へ拒むことが出来ないのを知らない。
命門は十二官の主,人は此の火があれば生き,無ければ死す,火が旺んなれば一身に運用され,手足は自ら温かい;火が衰え上下に通達できなければ,一身は皆冷える,何うして手足を温めることが出来ようか?
故に命門が火旺なら,寒邪を拒むが,火衰が極まると,陰寒は内逼し,腎宮に直入する,命門の火は寒邪が盛んになれば,畏れて同居することはできない。
身が顫えれば自主なり難く,手が顫えれば外衛し難い。
法は命門の火を温補するのが宜しい。
主が弱くなければ后に陽気が旺んになり,上下に通達し,陰消え寒散ずれば,心宮を冲犯しない。
直中陰臓第一方:附子・丁香1 肉桂・白朮2銭。
一剤で寒は祛り,身手は定まった。
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鐸按:方は尽く陽薬である,陰症を治すには固より宜しいが,急症なのにどうして少ない分両で,成功したのか?
火は外越することを欲するので,少しの助火ですぐに宮へ回る。
火が既に帰り,又余火の相助があれば,命門は火旺となる,祛寒を論ずるまでもなく,寒は已に火を望むや遁出している。
紹派傷寒名家験案精選 陳士鐸医案より
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