震顫麻痺(パーキンソン氏病)
朱東奇医案:姜某某,男,42歳,1982年11月2日初診。
半年前に田圃で労動していた時,わが子が車禍に会ったと急報があり,子を抱いて医院へ急いだ。
途中で雨に逢い,着衣が薄かったのと,心情が慌てており,全身から汗をかいていたのとで,翌日は肌体に違和を感じた。
周身困重,時に寒熱あり,語言遅緩,腹脹納(食欲)少となった。
継いで筋惕肉顫し,手は細かい動きが出来ず,歩行が危なくなり,全身は痿軟無力で,肢体が麻冷となった。
某地の医院検査では“パーキンソン氏病"といわれ,ドーパミン等の薬治をして,上述の症状は一度緩解したが,后又復発した。
この半月は諸症が悪化し,臥床が出来なくなり,中医に転じた。
脈弦滑,舌紅苔黄厚根膩,口粘発苦,大便干結,小便色黄。
患者は平素から禀性沈黙,寡言少語であったが,あの時の驚恐内傷に,風雨の外襲を加えて,内外の原因が合わさって病となったものである。
且つ久病のことで,憂慮が日に増し,肝気鬱結,横犯脾土となった。
疏肝理脾,解鬱安神,清熱鎮驚の治療をしなければならない。
柴胡加竜骨牡蛎湯(柴胡12 黄芩1O 竜骨・牡蛎15 桂枝6 茯苓・半夏1O 党参12 大黄6 丹参15 百合12 生姜3片,大棗6枚),水煎服。
服薬5剤で症状は大いに減り,身体が緩み,肌肉震顫が少なくなった。
原方から大黄、茯苓を去り焦三仙10、莱菔子10を加えて,継服すること5剤。
后は逍遥丸にて1月余調理をした。
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按語:本案の病変部位は主に肝である,肝は筋を主り、魂を蔵する,驚嚇を卒受して,肝気が逆乱して,ついに筋肉顫動,痿軟無力,神情恍惚等の症となった。
本方で疏肝理気,解鬱安神,清熱鎮驚したところ,方証が相符して,良効を獲た。
傷寒名医験案精選 より
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