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傷風が肝に入る

春温治案七則-6
春に傷風にかかり,手足は逆冷し,脈は緊となり,心下満にして煩,饑えても食べられない,人は傷寒の症で邪が厥陰に入り,胸中に結したと謂う。
脈が浮なら風に属し,緊なら寒に属す,脈緊は傷寒である,春月ではあるが,是れは傷風であり傷寒ではないと謂っても誰が信じるだろうか?
然し実はよくある事なのだ。
風は最も肝に入る,春風は尤も肝木と相応する,故に木は風に遇えばすぐに迎え入れる。
但だ木性は温風を喜び,寒風は欲しない。
春は温風が多く,寒風はたまにしかない,偶々寒風があり,肝気に少しでも不順があれば,脈は緊象を現す。
しかし緊でも細かく観ると,必ず前が緊でも后は渋である。
緊は,寒象で;渋は,逆象である。
寒風が肝に入れば,手足は必ず逆冷し,肝気が抑圧される,そうしたら心も又何うして安泰であろうか?
心が不舒なら,脾胃を生ずることが出来ない,肝が又不舒なら,必ずや脾胃を克する,ゆえに饑えても食べることが出来ない。
寒が厥陰に入るには,三陽から来るが;風が厥陰に入るのは,厥陰に初めから入るのである。
故に傷寒の邪が肝に入れば深いが,傷風の邪が肝に入るのは浅い。
深く入れば再伝することを恐れるが,浅く入れば出易くもある。
但だ肝中の寒,木中の邪を解せば、木中の風は自ら散ずる。
寒が去れば風も去り,飲食は進み,煩満逆冷も亦尽く除かれる。
 加味逍遥散:柴胡2 白芍5 当帰・茯神3 白朮0.5 甘草・肉桂1銭,陳皮0.3。
一剤で痊愈した。
鐸按:逍遥散は原もと肝気を解すが,肉桂を得れば肝に直入し,寒風を掃蕩する。
陽が和し既に回復すれば,大地は皆陽春のみ,何うして鬱気が上りて心へ走り下りて脾胃を克する事があろうか?
脾胃の気が升れば,草木は栄え,押さえつけられることも無くなる。
傷寒と誤認して,瓜蒂散を用いれば,必ずや臓腑がひっくり返されるだろう。
 紹派傷寒名家験案精選 陳士鐸医案より

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