中暑による干霍乱
暑症治案三則-3
暑熱に中り,腹が疼痛して,吐かんと欲して能わず,泄せんと欲してもできない,人は干霍乱だと謂う。
霍乱は何をもって干湿を分けるか?
吐瀉しないからである。
邪が胃に在れば吐く,それが邪の越上である,腹に在れば泄する,それが邪の趨下である。
越上した邪は中へは入らず,趨下した邪は内には入らない。
今吐かず泄せず,中焦に堅居して,皇城に反叛ある如し,四境は安きと雖も,腹心の禍はたちまち乱に変る,禁門は血まみれとなり,内殿には屍体が横たわり,身を顧りみず奮闘する将も,矢を受ける,もはや一刻の猶予は無い,禍乱は始まっている。
人参瓜蒂湯:人参一両,瓜蒂七个。
煎じて飲めば,すぐに吐いて愈える。
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鐸按:此の脈は必ずや沈伏である,吐かなければ死す。
古くは瓜蒂を用いるだけで,人参は加えない。
胃気虚なる,故に中暑となった,今大吐すれば,胃は必ず更に傷つく,故に人参を用いて,吐中に胃を安んずる。
且つ胃は素もと虚のため,暑邪が壅塞した,瓜蒂を用いても,気怯のため上送できず,吐かんと欲して能わず,吐いても多くないと,邪は終に出難い。
人参一両を用いれば,陽気が大いに旺んとなり,能く祛邪するだろう。
瓜蒂を得れば,大吐せずにはおられない。
邪を散じれば正気は無傷である,内乱は収まり,君臣が復帰して,安寧となる。
紹派傷寒名家験案精選 陳士鐸医案より
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