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胸悶2

更に大気空虚の参考症例を探すと、

患者張某某,男,48歳。2011年11月28日就診。
胸部が憋脹してから既に10日,次第に重くなっている。
10余日前に過労に因り発作性の胸部憋脹が出現して,夜間が重い。
村の衛生所では“冠心病”と按じて輸液をしたが,病は減らず,重くなるばかり。
某医の診断は心絞痛で,発作時に消心痛(ニトロ舌下錠)を含服させることにした。
当夜の発作時に消心痛を含んで2分後には緩解したが,発作を予防することは出来なかった。
初診:いつも夜間になると呼吸が困難となり,胸部が憋脹して死にそうになる。
まるで“胸の気球が爆炸したようだ”と,非常に恐惧する。
坐起して胸部を按圧するといくらか緩解する;発作時に舌下に消心痛を含むとすばやく緩解する。
近日は飲食も減少しているが,二便は正常である。
査体:体格は健壮だが,面部は割と黒く,脈は虚大で,重按すると無力で,寸脈が特に甚しい。
舌体は大きく,辺に歯痕あり,色は淡紅で,苔が薄白。
心電図には異常なし。
西医診断:心絞痛。
中医診断:胸痺。
胸中の大気虚損,鼓動無力,冲気上逆により,胸痺を発している。
治療は峻補大気,通陽除痺とする。
黄芪理中湯加減(黄芪30 党参20 白朮・桂枝15 炙甘草18 大棗10枚)2剤を,水煎して服す。
12月2日二診:初日の午後4時と晩の8時の二回服薬したら,当晩は胸部憋脹が起こらず,甚だ喜んでいる。
2剤を服薬し終わり病はまだ起こっていない。
ただ晩になると心下不適で,隠痛がある。
脈は已に舒緩となり,舌体は大きく,少し歯痕があり,心窩部を按圧すると不適感がある。
黄芪理中湯加減を継続する。
按:《金匱要略·胸痺心痛短気病脈証并治》に謂う病機は“陽微陰弦”で,即ち胸中の陽気不足により,陰気が虚に乗じて陽位に付き,胸中が閉塞し,陽気が通らなくなったものである。
治法は,陽気虚弱の程度と陰邪の軽重を視て,扶正や,祛邪や,扶正祛邪を取る。
病史から,患者は中年でもあり,労心労力して陽気を耗損していることが分かる。
また患者は平時から飲食不節であり,飢えては飽食するなどしており,恐らく脾胃を損傷しているだろう。
脾胃は乃ち后天の本,気血生化の源である。
脾胃が受損すれば,化源は不足し,心肺損耗の気は直ぐには補充できず,必然更に虚すことになる。
其の脈が大きく,重按して無力で,寸部が特に甚しいのは,胸中の大気の虚がひどい証明である。
虚すれば之を補い,痺は之を通す,治療には黄芪の大剤で肺気を補う;甘草補心気;党参、白朮は健脾益気を,土は能く金を生ずるの意を取る,脾気を補えば即ち肺気を補うことになる;桂枝の辛温は,胸陽を通し,また平冲降逆をする。

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