益気聡明湯
この処方は文字通り耳目を聡明にする事を目的としていますが、実際にはその応用の広さにビックリします。
突発性耳聾、耳鳴、慢性鼻炎、慢性頭痛、偏頭痛、眩暈、白内障、複視、頚椎病、落枕、痴呆症、高血圧、重症筋無力症など首から上の症状なら何にでも応用されています。
おそらく首肩の凝りにも効くのではないでしょうか?
『方剤心得十講-焦樹徳』には次のようになっています。
五臓、六腑は皆 気を脾胃から禀ける,十二経脈の清陽の気は,皆 頭面へ上達し空竅に走る。
如し飲食労役に因り,脾胃を損傷し,后天が不足し,冲和之気(陰陽調和の気)が上升不能となれば,邪は空竅を害し目昏が現れ,或いは内障、耳鳴耳聾等の症が生ずるが,本方で治療できる。
本方の参、芪は甘温にして脾胃を補う;甘草は甘緩で脾胃を和す。
葛根、升麻、蔓荊子は軽揚升発し,能く陽明に入り,胃気を鼓舞し,頭目に上達する。
目は肝竅、耳は腎竅である,故に又白芍で斂陰、和血、柔肝する。
黄柏は補腎生水し,清熱、堅腎する。
此の二薬は平肝補腎である。
諸薬が合わさって益気升陽、聡耳明目の効を達する。
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また別のところの益気聡明湯では次のようになっています。
【功効】益気升陽,聡耳明目。
【主治】主治は飲食不節や,労役に因り,脾胃が不足して,清陽が升らず,白内障,耳鳴や,多年の目暗く,視物がかすみ,舌淡で苔薄白,脈は細弱。
【臨床応用】臨床では主に眩暈、頚椎病、脳動脈硬化、高血圧病、耳鳴、痴呆等の病症で脾胃虚弱、清陽不升に属する者を治療する。
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