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益気聡明湯と認知症

益気聡明湯については嘗て書いているが、その応用の一つに痴呆症があった。“聡明”といえば目や耳の症状についてのこと、それとはかけ離れた痴呆症と何の関係があるのか?

痴呆といえばすぐ脳髄空虚の方に目が行きやすいが、それよりも先に“后天の本,気血生化の源”である脾胃が脳髄を養っている事実を忘れてはならない。
この視点からの報告があったので紹介します。
張志真老師は痰と瘀血の二つの物質が老年痴呆症に深く関係があるとは云え、“血積が日久しくなれば,亦能く化して痰水となる”“痰水が壅するのは皆瘀血がもたらしている事で,瘀血が祛れば痰水は自ずと消える”と両者は消去出来ることを述べている。
病例
患者,男,85歳。1988年初に“パーキンソン氏綜合征”と診断された。
2006年12月初診:患者は表情が淡漠で,神情呆純としており,言葉が通ぜず,行動は遅緩で,反応も遅鈍,記憶力が減退している(自分の親しい人や住処を認識していない),健忘,自活能力なし,体倦乏力,手が震え,頭昏し,大便は干結,夜尿は少しづつ、頻数で,睡眠ができない。
舌は胖大,辺に歯痕あり,質は淡紅,苔白く,脈は沈細である。
中気不足,清竅失養と辨証される。
 益気聡明湯加減(炙黄芪20 党参30 升麻6 葛根20 白芍・蔓荆子12 黄柏10 川芎15 丹参・炙遠志12 炙甘草10)
服薬1周后に患者の頭暈、不眠の症状は明らかに軽減し,二便も正常になった。
再診で蜈蚣2条,白僵蚕12gを加用し,1ヶ月后には,患者の精神状態は佳くなり,よく反応し,記憶力も改善して,基本的に自活出来るようになった。
討論:清陽が上升すれば,濁陰は下降する」の濁陰には、痰も瘀血も含まれていると解釈することができる。
また虫類薬物は血肉有情の品であり,祛瘀生新の力が強く,対痴呆症の頑痰・頑瘀に対して有効である。
すなわち地竜、全蝎、白僵蚕、蜈蚣等の薬物には,化痰逐瘀、捜風通絡の功がある。

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