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中医学実践の理論 4.飧泄

飧泄は,脾湿腎寒,肝木鬱陥に因り,水穀不化が,二腸に并走し,大腸が収斂し,混雑して下るものである。
【脈証機理】
人の生理は,胃が受納を主り,脾が運化を主る。
穀が胃に入ると,脾陽が消磨し,精微は五臓に帰り,気血となり,身を奉養する,糟粕は大腸に伝わり,糞便となる。
水が胃に入ると,脾陽が蒸騰し,化気して肺に帰す,肺気は降洒し,清なる者は津液に化し,関竅臓腑を潤す,濁者は膀胱に下注し,溲溺となる。
水の蒸化は,穀に較べて難かしい。
飲食労倦により,脾胃が内傷されると,中陽が衰え脾湿が増え,愈イヨいよ蒸水化気が難しくなる,穀食が消磨されると,水穀混雑となり,清濁は分かれず,二腸に并走する。
中土の陽が衰えると,累及して腎陽も虚し,脾湿腎寒となり,肝木を生長させることが出来ず,肝木は因って下に鬱陥する。
夜半子の時に,陰が尽きて陽が生じ,肝木は疏泄の令を行うが,膀胱が空虚で,泄する物が無いと,必ず腸間を冲突し,漉漉と声あり,摧注して下り,瀉泄を作す,是れが飧泄の病である。
肝気が鬱遏し,大腹に冲突する,故に腹痛する。
脾土が湿陥となり,運化が無権となる,故に脘悶腹滞となる。
肝脾が鬱陥すれば,胆胃は必ず逆し,上熱下寒となる,故に納差食減,口干不欲飲,甚しければ食后嘔吐,身体消痩の症となる。
腎水が下寒し,上承不能となれば,心火を済けようとしても,心火は独り上に盛んとなり,舌紅きこと辣椒の如くなる。
心腎不交,脾胃不和,中気虚敗となれば,腹脹して鼓の如くなる事も有る。
此れは晩期になると,多くは挽救し難い。
脾湿肝鬱,陽虚下寒する,故に脈は細濡、稍弦、関寸大となり,舌苔は白薄膩となる。
【治則】
健脾疏肝,温暖中下,斂腸止泄。
【按語】
飧泄は,又の名を鶏鳴泄、五更泄等という,西医の多くは“慢性結腸炎”と診断する。
中土不健に因り,運化が遅滞すると,水穀の精微を吸収し,気血を化生して養身する事ができず,水穀は雑り合い,二腸へと同趨し,泄して蔵されず,混雑して下るという一種の慢性病となる。
飧泄は長期にわたり水穀の精微が外泄するので,虚が主である。
其の病機は脾湿肝鬱,疏泄不蔵である。
重ければ腎に及び,腎陽も亦虚す,釜底無薪となる,ゆえに水穀不化,瀉泄は愈イヨいよ劇しくなる。
治療は補虚が主で,健運中気,舒肝解鬱,斂腸止泄とする,重ければ温腎暖下を兼ねる。
其の本を正し,其の源を清せば,虚候と雖も,亦難治に非ず。
且つ“炎”の一字を見て,寒凉を径用して伐泄すれば,愈いよ脾腎の陽を敗り,“虚を虚する”の戒を犯すことになる。

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