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上肢の痺れ

腕神経叢の病変
『中医臨床』v33-2(2012年6月) 丁元慶 治験報告No.12
患者:女性,48歳。
初診日:2008年9月17日
主訴:20日前から左の上肢が痺れて,首が痛む。特に人差し指・中指・薬指の痺れがひどい。口が乾いて汗がよく出ます。
舌診:舌質喑紅,舌苔薄黄
【中医診断】痹証,麻木
【西洋医学的診断】左側腕神経叢の病変,軽度の貧血,女性ホルモンの欠乏
【弁証】肝腎虧虚,気血不足,風寒入絡
【治法】滋養肝腎,補益気血,散寒通絡
【処方】当帰補血湯・二仙湯合葛根湯加減
生黄耆45 当帰20 酸棗仁・丹参30 天麻24 烏梢蛇18 炒知母・黄柏15 葛根30 麻黄・桂枝9 炙甘草12 附子9, 7剤。
第2診(9月26曰)
前回処方の麻黄を6に減,+威霊仙30 蒼耳子6(疏風通絡を強化) 7剤
第3診(10月10曰)
風寒蘊絡・気血不足・肝腎虧虚である。
【処方】当帰補血湯合陽和湯加減
生黄耆45 当帰24 生麻黄3 熟地黄・枸杞子24 赤・白芍15 桂枝9 炮附子6 丹参18 酸棗仁30 蒼耳子6 桑枝24 淫羊藿15, 7剤
第4診(10月17曰)
左示指の橈骨側の痺れが残っている。気血や肝腎が不足している。
【処方】当帰補血湯合加味瓊玉膏加減
黄耆30 当帰20 人参6 熟地黄24 枸杞子・天麻20 桂枝9 附子6 丹参18 紅花3 威霊仙30 烏梢蛇・砂仁・陳皮15, 7剤
第5診(11月21曰)
邪気が完全には去っていない。
【処方】葛根30 全当帰18 生黄耆30 人参6 炙甘草12 羌活・独活・川芎9 天麻15 天南星6 姜黄12 炮附子9 威霊仙20, 7剤
第6診(12月12曰)
胆石症が再発して,全身のだるさや胆囊部に不快感が現れ,しゃっくりも出る。寝つきが悪く,朝早く目が覚めてしまう。
【処方】生黄耆30 当帰15 人参・炮附子9 酸棗仁30 丹参15 蒼耳子6 威霊仙30 明天麻15 片姜黄12 鬱金18 生麦芽24, 7剤
第7診(12月19曰)
げっぷが頻繁に出て,右脇に塞がったような不快感がある。
【処方】前回処方-蒼耳子,+枸杞子24 麦門冬30 旋復花・鶏内金15 7剤
第8診(12月26曰)
利気和中をはかる。
【処方】前回処方-麦門冬,旋復花,+枳殻12 川芎9 桂枝・炙甘草12 7剤
第9診(2009年1月2曰)
水に触ったり冷えたりすると悪化する。
【処方】生黄耆30 当帰20 人参6(単煎) 天麻18 葛根15 桂枝9 丹参・炙甘草15 川芎9 酸棗仁30 砂仁・陳皮15, 7剤
第10診(2月6曰)
寝つきが悪くイライラしやすい。便はやや硬い。
【処方】当帰補血湯合二仙湯加味
生黄耆20 当帰24 炒知母・黄柏15 酸棗仁30 天麻20 枸杞子18 菊花24 決明子30 桔梗12 郁李仁30 蝉退15 川貝母9,14剤
第11診(3月20曰)
疼痛や痺れはともに消失した。寝つきもよくなったが情緒が不安定で,イライラ。右脇腹に疼痛が現れている。
【処方】生黄耆24 全当帰15 酸棗仁30 丹参18 炒知母・黄柏・陳皮15 麦門冬30 川貝母9 玉竹15 ,生竜歯24 炙甘草12 鬱金15, 7剤
【筆者体得】
本症例は肝腎虧虚・気血不足・腠理疏鬆が発病の本であり,邪気が経絡を阻滞し,気血が通じなくなり,営衛の和が保てなくなったものである。
黄耆は使用量が多ければ気味も濃くなるため,宣通・走泄を行うことができる。
二仙湯は女性の更年期障害を治療する現代の新方であり,閉経期の女性は陰虚火旺の特徴が現れることが多い。

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