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痰熱による不眠

『中医臨床』v32-3(2011年9月) 丁元慶 治験報告No.9
患者:男性,36歳。背が高く恰幅もよく,顔面には痤瘡がみられることから,痰熱体質であることが考えられる。
初診日:2009年3月6日
主訴:半年前から寝つきが悪く,よく夢を見ます。いったん眠ってしまうと簡単には目が覚めませんし,いびきをかいて呼吸が止まることがあります。記憶力も低下している。口の周囲・鼻の先端,鼻翼部・頸部後方に痤瘡が発生しゃすく,ときに右下腹部にシクシクとした隠痛が現れ,便通は1日2回,便は形にならず,便が便器につきやすい。尿は正常だが,口苦,口臭がある。
舌診:舌質紅嫩,舌苔薄膩で舌根部はやや黄
中医診断:不眠・肥胖・鼾眠
西洋医学的診断:不眠症・単純性肥満・睡眠時無呼吸症候群(?)
弁証:痰熱内蘊,擾乱心神,阻滞気機
治法:清熱化痰,清心安神,降濁和中
【処方】茵陳蒿湯加減(綿茵陳20 山梔子・酒大黄6 炒枳実・厚朴15 蒲公英・北沙参24 連翹30 炒萊菔子15 沢瀉30 竹茹18), 7剤
第2診(3月20曰)
カゼを引いたために内服を中止していた。脈細から湿熱・痰濁が陰を傷つけている可能性がある。
前回処方-連翹,竹茹+金銭草24 生地黄15。7剤
第3診(3月27曰)
湿熱・痰濁による疾患は,迅速に治療することが難しい。胃腸と肝胆の両面を治療しなければならない。前冋処方を7剤。
第4診(4月3曰)前冋処方を7剤。
第5診(4月10曰)
腹痛や下痢が起こり,1日に3〜4回便通があつて,便は質が薄く形にならない。大黄に適応できなかったものと考えられる。
前回処方-酒大黄・連翹+茯苓24,石菖蒲12,7剤。
第6診(4月17曰)
痤瘡が消失していないため,清熱化痰・散結解毒を重点的に行い,
【処方】綿茵陳15 枳実・蒼・白朮12 生牡蛎24 茯苓30 夏枯草18 炒白芍15 炙甘草・川貝母9 厚朴・白蔹12, 7剤。
第7診(4月24曰)
諸症状が安定してきて,痤瘡も消失したということは,疾患が転換期を迎えたことを示している。
前回処方-白蔹+佩蘭・藿香15,7剤。
第8診(5月1曰)
睡眠も深く毎晩6時間以上眠ることができるようになった。鼻の尖端部に再度少数の痤瘡が現れた。湿熱体質に瘀毒が加わっている。
前回処方-佩蘭・藿香+漏蘆15 鬱金12,7剤。合計28剤服用。
第9診(5月29曰)
便の調子もよくなり,形になって便が便器につくこともなくなった。
前回処方+沢瀉15 水紅花子12 浙貝母15,7剤。
【筆者体得】
痰熱による不眠は,痰熱が気機を阻害して,心神をかき乱し睡眠に影響を及ぼす。治療の際には邪気を体外に排泄させなければならない。茵陳蒿湯はまさに本症例の病機に適合した。

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