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月経期頭痛

『中医臨床』v35-2(2014年6月) 丁元慶 治験報告No.20
疏肝涼肝,活血熄風による肝経瘀熱証の片頭痛治療
患者:女性,29歳。
初診日:2010年12月15日
2年以上前から生理の前後に後頭部がキリで刺されるように痛くなります。甘いものを食べると痛くなり,また精神的に調子が悪いときも起こります。発作のときはいつも目がかすんで頭が重く感じ,セミの鳴き声のような耳鳴りもします。
脱毛が顕著になってきました。顎関節に突っ張ったような感覚がある。
【舌診】舌質紅喑,舌体胖大で周囲に歯痕,舌苔薄黄
【脈診】弦細
【中医診断】月経期頭痛
【弁証】肝経瘀熱
【西洋医学的診断】片頭痛
【治法】疏肝理気,涼肝化瘀,熄風通絡
【処方】玫瑰花・香附子・月季花15 天麻18 川芎6 夏枯草・白頭翁18 蔓荊子・懐牛膝・白僵蚕・蟬退15 土茯苓30, 7 剤
第2診(12月29曰)
頭部がクラクラして重く不快であり,気力があまりなく,記憶力もあまりよくない。四肢がだるく,終日耳鳴りがする。胃部に常に不快感があり,腹脹やげっぷが現れやすい。食べものの味をあまり感じられず,食欲がない。睡眠も不安定で,睡眠時に幻聴があり,驚いて目を覚ますことがよくある。肝経に瘀熱があると,肝が脾をのびやかに働かせることができなくなる。旋覆花を加えて疏肝通絡を行い,厚朴花を配して理気和中を行う。
【処方】前回処方-僵蚕,蟬退,+旋覆花・厚朴花15 7剤
第3診(2011年3月29曰)
4週間服用したところ,初診時から現在に至るまで,頭痛は一度も現れていない。この間予想外の妊娠をしたため,1月末に人工妊娠中絶手術を行い,中薬の服用を停止した。終日目や頭がクラクラして重いという不快感があり,元気が出ずに,イライラしたり,せっかちになったり,辛抱ができなくなったりしている。
陰血不足のためであり,肝気が鬱結してスムーズに流れていない象である。養血滋陰・疏肝解鬱・清熱安神鎮静を行う。
【処方】鬱金20 夏枯草15 川貝母6 竹葉9 酸棗仁・白茅根30 桔梗・炙甘草12 珍珠母30 竹節18 天竺黄15 明天麻24 当帰15 百合・麦門冬30,10剤
【筆者体得】
片頭痛は厥陰頭痛に分類され,肝と心包にあたり,ともに相火を蓄えており,情緒的な異常が現れる。厥陰の頭痛は,足厥陰肝経の頭痛と,手厥陰心包経の頭痛に分類できる。本症例は頭痛の発作の期間に,頭がクラクラして不快である,元気がないなどの症状が現れており,手厥陰心包の失調であると判断できる。
足厥陰肝経の頭痛には風薬の活用を強調している。柴胡・菊花・桑葉・蟬退・僵蚕・天麻・荊芥・防風・羌活・川芎など,辛散の作用があるものが多い。また滋陰養血には,当帰・生地黄・白芍・枸杞子・石斛などを常用する。
手厥陰心包の頭痛には,茯苓・柏子仁・酸棗仁・炙甘草・丹参などの養血安神・通絡暢気の薬材を配する必要がある。
長期間の頭痛は「久病入絡」により「頭風」となる。患者は若い女性であったので「片頭痛には平肝・瀉肝を用いる」という規律に反して,まず軽・柔・和・緩の薬材を用いて疏肝解鬱・理気活血を行った。旋覆花は厥陰肝経に入って頭頂部まで届き,疏利通絡を得意とするため,肝経瘀滞・肝絡失和によるさまざまな頭痛の証に用いる。

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