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小児の睡眠時癇証発作

養陰,柔肝,活血,化痰による小児の睡眠時癇証発作治療
『中医臨床』v34-2(2013年6月) 丁元慶 治験報告No.16
患者:10歳,男子。
初診日:2006年10月4日
主訴:今年6月に大きな刺激を受けてびっくりした後,よく睡眠中に四肢のひきつけを起こすようになりました。睡眠中に四肢がこわばってひきつけを起こし,両目をむいて,口からは白い泡を吐き,のどからおかしな声を出します。
3〜4分継続した後,次第に緩和されます。また鼻出血を伴う。発作の後は,四肢の筋肉がだるく痛んで,疲労感があるようです。
出産は予定日通り順調で,特に事故などはありませんでした。3 歳のときに車にぶっかって頭部に外傷を受けました。
【中医診断】癎証
【弁証】陰虚失潤,瘀血結滞,痰濁内阻,腸燥不営,肝旺生風
自動車にぶつかったということは,脳髄が揺さぶられ,気血の不暢を招き,脳髄の神機の発育に影響を及ぼした可能性も考えられる。
また激しく驚くと気機が逆乱し,神機が和を失い,癇証の発作を誘発することがある。
脈象からは,陰精が不足し,滋潤を失っていることが理解できる。肝が滋潤を失えば,肝陽が風と化し,腸が滋潤を失えば,便が乾・燥・結という状態になる。また睡眠時には陰気が使われるため,陰虚となると陽気が陰に入るときに陽気を抑制できなくなり,陽気の妄動を招いて,癇証が発生する。
【治法】養陰潤燥・化痰活血・平肝媳風
【処方】定癇丸『医学心悟』加減
珍珠母20 天麻・蟬退・僵蚕・天竺黄・丹参12 連翹15 炙甘草9 麦門冬24 茯苓15 竹葉6。12剤
第2診〔2007年2月27曰)
1月25日の日中に発作があった。小児はまだ陰陽のバランスが整っておらず,日中情緒的に興奮すると陽気が亢進しやすくなり,陰陽のバランスが崩れて,夜間も陽が陰と交替しなくなるため,ひきつけを起こす。抑暘扶陰,平肝柔筋を行う。
【処方】麦門冬20 百合24 生白芍・天麻12 珍珠母24 僵蚕・丹参15 竹葉6 北沙参20 蟬退・連翹15 炙甘草9。14剤
第3診〔3月31曰)
前日にめまいが現れ,20〜30分間見るものが旋回して,その後自然に治まった。
【処方】前回処方-竹葉,+鈎藤24 酸棗仁20。14剤
第4診(5月2曰)
睡眠中に突然起き上がって座り,10分間座ったままで,その後再び眠りについた。
「陰平らかで陽秘すれば,精神は乃ち治まる」陰が充足すれば陽を制御でき,肝木柔和となれば妄動を起こす心配もなくなる。
【処方】麦門冬30 百合24 天麻12 白僵蚕15 炙甘草・竹葉9 丹参・鶏内金12 炒穀芽・竹茹15 酸棗仁24 沙参18。14剤
第5診〔6月2曰)
授業中に集中できないことがよくあるのは,陰虚熱擾のためである。
【処方】前回処方-竹葉,+蚤休9。14剤
第6診(7月13曰)
授業中に断続的に左口角がピクピクしたことが2回あった。養陰安神・柔肝熄風を主にする。
【処方】麦門冬・百合24 生白芍15 炙甘草12 天麻15 茯苓20 石菖蒲10 蟬退15 天竺黄12 鬱金18。10剤,1剤を2日分とする。
【筆者体得】
肝風内動の治療には,平肝熄風が必要であり,質が重い薬材を常用するが,小児の治療の場合は,それがけっして過度にならないように,常に注意しなければならない。
小児は純陽の身体であるが,活発に動いたり,成長・発育したりするためには陽気の働きが重要である。このため質が重い薬材の用量を慎重に考えないと,必ず真陽が傷つき,発育にも影響を及ぼしてしまう。
※陰虚となると陽気が陰に入るときに陽気を抑制できなくなり,陽気の妄動を招いて,癇証が発生する。

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