耳鳴り
耳鳴りといえば耳聾左磁丸という中成薬があり、日本のエキスなら滋腎通耳湯・牛車腎気丸・釣藤散などが挙げられますが、それれで良くなったという人はあまり聞きません。
高齢者の回復不能な腎虚を除いて、若い人なら必ずどこかに治療のポイントがあるはずです。
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呉克純医案:徐某某,男,32歳,1982年9月8日診。
患者は耳鳴してから3月余り,これまでに小柴胡湯、竜胆瀉肝湯、黄連温胆湯、耳聾左慈丸、補中益気湯 等を60余剤服すも皆効なし。
カルテ:両耳内に蝉鳴の声がする,時々風音が耳に入り,聴音がはっきりしない。
体質は壮実で,飲食、大便は正常,小便は日に数回あり,色は淡で黄色ではない,舌質は淡紅、苔白,脈浮,両耳内に異常なし。
此れは清竅不暢による耳嗚である。
上病は下で治す,上竅が不暢なら,下竅を瀉す,利小便の法を用いる。
五苓散加味(沢瀉30 茯苓・白朮15 猪苓12 桂枝・石菖蒲9)
一剤を服した后,小便の回数が増え,耳鳴は漸減し,連服すること5剤にして,耳鳴は消失した。(新中医19895,5:47)
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按語:腎は耳に開竅し,また二陰を主る。
腎が化気しなければ,水は清竅に氾濫し,耳嗚、耳聾となる。
五苓散にて化気行水の法を採用し,小便を利し,下竅を泄し,下竅が通じれば上竅が開暢し,耳鳴は愈えた。
傷寒名医験案精選 当代 · 陳明、張印生 より
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