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肝経風火証の頭痛

『中医臨床』v36-2(2015年6月) 丁元慶 治験報告No.24
清肝瀉火による肝経風火証の片頭痛治療
患者:女性,39歳,会社員。
初診日:2004年12月15日
【主訴】3年くらい前から頭痛の発作が1ケ月に1〜2回ほど起こる。発作の前には,目がかすんだりクラクラしたりすることが多く,頭痛の部位は一定していないが,おもに両側頭部が痛む。
疼痛は拍動性の跳痛が多く痛みがひどくなると悪心・嘔吐を伴う。発作が現れないときはよくめまいがして,身体が揺れるような感覚がある。睡眠は浅く,よく夢を見て目を覚ましゃすい。情緒が不安定になっており,すぐに感情が高ぶったり怒りっぽくなったりしている。また,よく咽が痛くなる。経血量はやや少なく,血塊がみられる。
【舌診】舌質暗紅,舌苔薄黄膩
【脈診】弦で数に近い
【中医診断】頭痛
【弁証】肝経風火・上擾清竅
【西洋医学的診断】片頭痛
【解説】肝鬱化火・肝火内盛・火擾清竅となり頭痛を引き起こしている。肝火が肝経をめぐって咽頭部を犯すために,咽頭の疼痛が現れる。肝火が血を動かすために,月経が前倒しになる。肝火が陰を傷つけるために,経血量が少なくなり,便もやや硬くなる。
【治法】涼肝瀉火・疏達鬱滞・鎮静安神
【処方】瀉火平肝方(筆者創製方)加減
羚角粉1(冲服) 夏枯草・白蒺藜・連翹・天麻15 珍珠母24 苦桔梗12 生白芍15 川貝母・木胡蝶・炙甘草9, 6剤
第2診(12月22曰)
身体が揺れるような感覚は風気が内動しているためである。耳鳴りやよく夢を見るというのは,肝火が上部をわずらわせているためだが、肝火が衰え始めているため,前回処方から連翹を除き,牡蛎を加えて平肝安神を行って,さらに前胡を加えて利肺寛胸の効果を得る。
【処方】前回処方-連翹,+牡蛎20 前胡15 6剤
第3診(12月29曰)
頭部の張り・口乾・舌質紅・舌苔薄黄・脈弦細という症状は,やはり肝火上擾の象である。治療は疏達肝気・清瀉肝火・通絡緩痛を行う。桑葉・菊花・蟬退・僵蚕・牛蒡子・天麻を用いて,辛涼の性質により疏透宣達肝気・平肝熄風を行い,牡丹皮・連翹を用いて清熱涼肝を,牡蛎・天麻で平肝降逆を,炙甘草で柔肝緩急を行う。
【処方】桑葉30 生牡蛎24 牡丹皮・菊花・蟬退15 炙甘草9 僵蚕・天麻15 連翹30 牛蒡子15, 6剤
第4診(2005年1月5曰)
舌苔黄膩は湿熱内蘊のためであるため,清熱燥湿を兼ねる。葛根芩連湯加減を用い,葛根・黄芩・黄連・石菖蒲で清熱・燥湿・化濁を行い,連翹・夏枯草・菊花で清肝瀉火を,天麻・珍珠母・夏枯草で平肝熄風を,天花粉・沙参で養陰柔肝を行う。
【処方】葛根芩連湯加減
葛根30 黄連9 黄芩12 天麻15 珍珠母24 菊花・連翹・夏枯草・石菖蒲15 天花粉・沙参18 ,6剤
第5診(1月12曰)
なお咽頭痛・口乾がある。
【処方】前回処方+玄参18 6剤
第6診(1月19日)
舌質紅・舌苔薄黄・脈沈細は肝火陰傷の象であるため,前回処方を継続して服用し,治療効果を確固としたものにする。土茯苓を加えて,化濁に搜利絡道を兼ねる。
【処方】前回処方+土茯苓30 12剤
※葛根芩連湯といえば「熱痢」だが、広く湿熱に運用できるのですね。また土茯苓が湿熱頭痛の常用薬材である事も記憶しておきたい。

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