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脈診から吉凶・安危を知る

『叢桂亭医事小言』より1
原南陽の『叢桂亭医事小言』を読んでいるところですが、これが実に素晴らしい!
ネットを見回しても余りこの書物についての記事が見当たらない。もっともっと読者を増やしたいものと思い、宣伝のために感じた部分を紹介します。

「脈診」とは病証を知るためのものではなく、病気の吉凶・安危、即ち“治るか 治らないか”を判断するものである。
また「腹診」も同じく病証を知るためのものではなく、脈診を補助するためのものである。
脈診と腹診を合わせて「吉」なら「治る」はずだから、これを治療するには「どこの何をどうするか?」を考える。
「凶」なら「難治」だから、治療には及ばない。
《史記》にある話で、虢(かく)の太子が尸厥(しけつ)という病気にかかり死んだと思われていた時に、鍼石と熨法などを用いて治癒させたのは、「吉」だったからだし、また斉の桓公の顔色を見ただけで病気の所在を知るや「凶」だったので治療せずに辞去したのがその例である。

‥‥‥引用‥‥‥
四診の望・聞・問の後に脈を診する。是を切と云うなり。そこで病の軽重・安危を知る。よって病名をもうけ脈を切にするは吉凶・安危のほどを知り、治と不治とを知るの用にて、脈にて病を知ることの用には非ず。

譬えば咳嗽寒熱を患える人あり、此の証は是 労瘵になるべき病体なり。此れにて脈を切にするに、其の人の脈細数なれば難治とす。脈浮数にてあらば発汗して治すべしとなす。是 労瘵には非ざる故なり。
すなわち切の所にて定むるなり。脈にて病証を知るものと思いては悪しし。吉凶・安危を知ると云う所か。
至って容易に知るべきものに非ず。此れに苦心すること多年、かさねて腹診を参伍して診脈の助けとすべし。腹診も意を留めざれば知りがたきものなり。

人の病する時に、是は治すと治せざると預め知りて療を施すを医と云うべし。治すか治せざるかを問わず、此の証をば此の薬にて治すべしとばかりにては、薬を飲むは医者を頼むに及ばず。書籍にあるままを薬店より取り寄せて飲むと斉しからん。夫れ医緩の晋侯を診するも、扁鵲の虢の太子を診するも、皆預め死生を知る。
死生を詳らかに知って人命を療ずべし。其の死生を知るは脈より知りやすきは無し。さて脈ほど知りがたきは無し。故に望・聞・問・切と腹診を参伍して是を定む。死生さえ明らかに知るれば天下に畏るる所なし、鬼神をも哭かませしむべし。

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