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陽虚による煩躁もある

《傷寒論》第69条:"発汗し,若しくは下し,病いがなお不解で,煩躁すれば,茯苓四逆湯が主る。"
ここの煩躁とは裏の陽虚のことである。
誰でも煩躁は熱性であると思っているが,煩躁には陽虚のものもある。
《傷寒論》第61条:"昼日煩躁して不得眠だが,夜は安静になる",これは陽虚による煩躁である。

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水気による梅核気

水気が頭目へ上冲すると,視力は下降し,目に黒花が見え,耳聾,鼻塞,不聞香臭等の証が現れる。
しかしまた往々にして咽喉の"梅核気"となっても現れる:喉中が梗塞して,吐出できず,咽下できない。

症例:某実習生が白姓の婦人の梅核気を治すのに,《金匱要略》半夏厚朴湯を用い,三服したけれどさっぱり効かず,余のところへ転診されてきた。

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少陰熱化証4

三、陰虚液燥証
少陰の陽虚下利が長引くと,必ず陰を傷つける。
陰虚津少となれば咽痛となり;津少だから制陽することが出来ず,虚熱が内擾するので,胸満・心煩等の陰虚液燥の証が起きる。
張仲景は此の病に対して,猪膚湯にて治療し,極めて良い効果を挙げている。
此の方は猪膚(猪皮の毛を去り,皮下肥脂を刀で削る)を水煎して,猪皮を去った後,白蜜を加え,更に炒米粉で香味をつける。

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少陰熱化証3

二、陰虚挾水証

案三:北京郊区 郭姓患者,男,52歳。
心下発満を患い,頭目時に眩暈を発し,夜晩口中非常に干渇し,且つ心煩して少寐。
脈は弦細,舌は紅,舌苔は水滑滴らんと欲す。
其の所服の方を観れば,滋陰潜陽・和胃疏肝あり,さらに補心安神の薬まであり,皆無効なりし。
脈弦で水苔なら,水証の徴候である。そこで小便は如何と問えば、
答:黄色で出にくく,残尿となる。

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少陰熱化証2

黄連阿膠湯は心煩不寐を治すだけでなく,婦科の崩漏の証をも治し,効果は予想以上です。

案二:唐某,女,30歳,未婚。
月経が淋漓として断えず崩漏となって,数ケ月経つ。
脈は萦萦として絲の如く,脈が疾い,一息に六回以上ある。
舌は光紅無苔,舌尖は紅艶で莓の如し。

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少陰熱化証1

六経辨証の中で,少陰病が最も能く陰陽水火の偏虚偏盛を反映する。
少陰が発病すると,寒化と熱化になる。
少陰病の熱化証は,陰虚挾火・陰虚挾水・陰虚挾燥に分けられる。

一、陰虚挾火証

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内経知要30

◆咳論
 素問咳論に曰く。
皮毛は肺の合(付属器)也。皮毛先ず邪気を受く。邪気は以って其の合に従う也。
其の寒飲食 胃に入る。肺脈より上って肺に至るときは肺寒ゆ。肺寒ゆるときは外内邪を合す。因って之に客するときは肺咳を為す。

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芍薬甘草湯の力量

日本では、芍薬甘草湯は「こぶらがえり」に効くというのが通説になっており、肩凝りでも何でも筋肉の引きつりさえあれば安易に使われています。
日常的に起きる「こぶらがえり」は一時的な筋肉の痙攣に過ぎず、暫く経つと緩解するので肝の陰血失養の証とはとても思えない。
症状だけを見て判断するのは随証治療、もっとよく本質を見ないと芍薬甘草湯の本当の方意と力量を見逃してしまいます。
芍薬甘草湯は薬味が少いが効力は強く,《内経》は"酸甘化陰"と云っており,大いに補血柔肝・緩急止痛する力がある。
桂枝湯から抽出された処方だが,臨床効果は桴鼓の如く証が合えば,稀有の効果を示す。

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心臓病薬の嚆矢

《傷寒論》22条:"太陽病,之を下して后,脈促となり胸満すれば,桂枝去芍薬湯が之を主る"。
これは陽病が陰に及ぶという,"陰陽会通"の病理を現している。
太陽病に下法を誤用して,脈促・胸満の証を出現したのは,心陽受損の情況が起きたからである。
心陽受損の后に,その補償として,仮性興奮となったのが,反って数にして,時に止る脈である,按ずれば無力なのが特徴である。

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"保胃気,存津液"

この語句は,清人の陳修園が《傷寒論》を総結して得たものです。

医案:張某,男,35歳。
温病を患って2ケ月治療して,"呃(シャックリ)"発作だけが残り,飲食が進まず,諸医は手をこまねいている。
ある人の紹介で新民県の某老医生が治療に来た。

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内経知要29

「素問熱論の六経」と「《傷寒論》の六経」は同じものか異か? それは長らく百家争鳴するところです。清代の通俗傷寒派の兪根初は、両者は同一の理論であるとしている。

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内経知要28

◆刺熱論
 素問刺熱論に曰く。
肝の熱を病む者は、左の頬先ず赤し。
心の熱を病む者は、額先ず赤し。
脾の熱を病む者は、鼻先ず赤し。
肺の熱を病む者は、右頬先ず赤し。
腎の熱を病む者は、頤(あご)先ず赤し。

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随証治療も良し

日本漢方の特徴は随証治療(方証相対)であり、中医学は弁証論治である。次の例から解説の部分を取り去れば日本の随証治療そのものである。
論拠さえシッカリしていればどちらでもいいのだが、随証治療は結論を急ぐ傾向があるのではないかという気がする。
思考回路を言葉で表現するのが中医学のいいところ。

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荊防敗毒散を腎炎に3

案二:石某,男,49歳。1998年8月13日初診。
痛風腎を患い,双腎萎縮となった。
症状:腰背酸楚,体疲乏力,大便干,小便色は深黄で,臭いが強い,朝起きると面腫,心煩,精神不振。
西医検験:血清クレアチニン 3.16,BUN 78
脈は沈滑で,舌苔は白膩。

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荊防敗毒散を腎炎に2

医案:
案一:王某,女,68歳。
1994年12月3日初診。
慢性腎炎を患って両年,常に感冒・労累に因って水腫を発生し,腰痛が反復発作し,多くの治療も遷延するばかりで愈える事はない。
この半月来 水腫は劇しくなった,下肢が甚しく,小便は不利で,食欲不振で腹脹し,時に咽痒咳嗽を発する。
顔色は晦黯で,舌質紅く,苔は厚膩,脈は滑略弦である。

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荊防敗毒散を腎炎に1

"腎炎"は難治の病です。これは人民の生活が好転したため,酒・肉などの膏粱厚味のものを嗜み,それが積み重なると湿熱を生化し,ために清陽が上升せず,湿濁が腎に下注するからである。
湿性は黏着性で,気機を阻塞しやすく,纒綿として愈え難いものです。
その症状は:肩背酸痛,腰痛腿沈,周身疲倦,頭暈嘔悪,身腫心煩,大便不爽,小便黄赤で少,臭い匂いがする。
脈は沈滑か,或いは沈弦小数,舌苔は舌根まで白膩。
両目は神採を缺き,満面に一団の黎黒の気が篭る。

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内経知要27

◆厥論
 素問厥論に曰く。
陽気下に衰うときは、寒厥を為す。
陰気下に衰うときは、熱厥を為す。
前陰は、宗筋の聚る所、太陰陽明の合する所也。
春夏は則ち陽気多くして陰気少し。秋冬は則ち陰気盛んにして陽気衰う。

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津液の貴さ2

例2:李某,女,25歳。
飲食が減少し,口咽は乾き,周身疲倦して,時に煩熱を発し,夜寐不安となった。
月経は二十日毎に来潮するが,量少く色が淡い,疲倦は更に加わり,臥床したまま起きられなくなる。
舌紅く苔浄(なし),脈は細数無力,大便は順調だが,小便は黄色である。

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津液の貴さ1

胃液が先ず虚すと,飲食は減少し,営血は化生できない。
治法は急ぎ補血することではなく,甘寒の品で先ず津液を滋し,胃を和し食べることが出来るようにすれば,諸証は治せずして自ら已む。

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内経知要26

◆風論
 素問風論に曰く。
風は善んで行(うご)き数々変ず。
腠理開くときは洒然(ゾクゾク)として寒ゆ。閉ずるときは熱して悶ゆ。
其の寒ゆるや、則ち食飲衰う。其の熱するや、則ち肌肉を消す。
故に人をしてトツ(忄わす失れる)(ひどい)慄せしめて食すること能わず。
風気 陽明と胃に入れば、脈を循って上り目の内眥に至る。
其の人肥えたるときは、風気外に泄るるを得ず。則ち熱中を為して目黄に至る。
人痩せたるときは、外泄して寒ゆ。則ち寒中を為して泣(なみだ)出ず。
風気 太陽と倶に入って諸脈の兪に行り、分肉の間に散じ、衛気と相い干(お)かし、其の道利せず。
故に肌肉をして憤瞋はれる・おおきい(目→月・シン)せしめて瘍有り。
衛気凝る所有りて行らず。故に其の肉不仁有る也。
癘は営気 胕(はれもの)を有りて、其の気清からず。故に鼻柱壊れて色敗る。皮膚瘍潰して、風寒脈に客して、去らず。名づけて癘風と曰う。

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全身浮腫

水には去路がある:表に在れば発汗し,裏に在れば滲利する。水気に去路を作れば,事半ばにして既に成る。
原則はそうであるが臨床では、腰以上が腫れていても,裏に内滲させ;腰以下が腫れていても,水気を表へ外溢させる事がある。
肺気不宣で,腎気不化では,"大気"は"一転"しないからで,必ずしも原則通りではない。

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内経知要25

◆挙痛論
 素問挙痛論に曰く。
帝曰。余百病は気より生ずることを知る也。
怒るときは気上る。喜ぶときは気緩まる。悲しむときは気消ゆ。恐れるときは気下る。寒ゆるときは気收む。熱するときは気泄らす。驚くときは気乱る。労するときは気耗る。思うときは気結す。九の気同じからず。何の病か生ぜん。

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桂枝人参湯証

協熱下利案
劉渡舟医案:陳x x,女,19歳。
風寒を外感して已に四五日になり,頭身尽く痛み,発熱悪寒し,大便は瀉を作し,毎日四五回,腹中は綿綿と作痛す。
曽って藿香正気散を服して無効だった。
脈は浮弦にして緩,舌苔は薄白にして潤,此れは太陽病の,外証未だ除かれず,協熱して利し,表裏不解なり,当に桂枝人参湯(党参・干姜・白朮10 炙甘草6 桂枝12)を用いるべし。
先ず理中湯(人参湯)を煮て,後に桂枝を入れ,昼夜三回に分けて温服す,両剤にして愈ゆ。

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顔面神経麻痺

顔面神経麻痺後の続発性微風症治療
『中医臨床』v40-2(2019年6月) 丁元慶 治験報告No.39

患者:女児,2歳6ケ月
初診日:2008年9月25曰
【主訴】1ケ月余り前から口角が右側に歪み,左眼瞼が閉じられなくなった。便は硬いことや便器に付くことが多い。
【舌診】舌質紅でやや淡,舌苔薄黄膩
【脈診】細弦
【中医診断】口僻〔顔面神経麻痺〕
【弁証】湿熱蘊結不化,陽明脈絡滞塞

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内経知要24

◆調経論
 素問調経論に帝曰く。
陽虚するときは外寒し。陰虚するときは内熱す。
陽盛んなるときは外熱す。陰盛んなるときは内寒す。其の由って然らざる所を知らざる也。
岐伯曰く。陽は気を上焦に受け、以って皮膚分肉の間を温む。今寒気外に在るときは、上焦通ぜず。寒気独り外に留る。故に寒慄す。
帝曰く。陰虚して内熱を生ずるは奈何。
岐伯曰く。労倦する所有り。形(陰)気衰少。穀気盛んならず、上焦行らず、下脘(幽門)通ぜず。胃の気熱す。(上下不通になると胃気がこもって熱を持つ)熱気は胸中を薫ず。故に内熱す。
帝曰く。陽盛んなると外熱するとは奈何。
岐伯曰く。(寒邪により)上焦通ぜざるときは、皮膚緻密に、腠理閉塞し、玄府(汗腺)通ぜず、衛気泄越することを得ず。故に外熱す。
帝曰く。陰盛んに内寒を生ずるは奈何。
岐伯曰く。厥気上逆し、寒気胸中に積んで、瀉せず。瀉せざるときは温気去る。寒独り留るときは、血凝泣(固まる)す。凝るときは脈通ぜず。其の脈は盛大以って渋る。故に中寒す。

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内経知要23

■巻八 病能

◆至真要大論
 素問至真要大論に曰く。
諸風掉眩は、皆肝に属す。
諸寒收引は、皆腎に属す。
諸気憤*(月賁いきどおる)鬱は、皆肺に属す。
諸湿腫満は、皆脾に属す。
諸熱瞀くらい(ボウ)瘛けいは、皆火に属す。
諸痛痒瘡は、皆心に属す。
諸厥固泄は、皆下に属す。
諸痿喘嘔は、皆上に属す。
諸禁鼓慄、神の守を喪う如きは、皆火に属す。
諸痙項強は、皆湿(膀胱経に入る)に属す。
諸逆衝上は、皆火に属す。
諸腹脹大は、皆熱に属す。
諸躁狂越は、皆火に属す。
諸暴強直は、皆風に属す。
諸病有聲(腸鳴)、之を鼓すれば鼓の如し。皆熱に属す。
諸病胕はらわた(フ)腫、疼酸驚駭は、皆火に属す。
諸転反戻(筋肉の強直)、水液渾濁は、皆火に属す。
諸病水液、澄澈てつ(きよい)清冷は、皆寒に属す。
諸嘔吐酸、暴注下迫は、皆熱に属す。

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疾病の発展と転帰

『傷寒論』185条の「本と太陽,初め病を得た時に,其の汗を発し,汗先ず出でて徹せず,因りて陽明に転属するなり。」の意味を、多くの教科書では「発汗の量が少ない」から陽明に転属したと解釈しているが、張国駿先生は異論を述べておられます。
すなわち疾病には「発展の趨勢」というものがあり、「転帰まで予見することが重要である」。発汗が足りなかったのではなく、“余勢”があったので陽明に転属した、という事です。

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小柴胡湯+淡豆豉・荊芥・薄荷

小柴胡湯は少陽病を治す和解の処方として知られているが、和解とは何をどうするのか?
太陽から少陽へと転じようとする邪気を、逆に少陽から太陽へと戻すのが和解(透出)である。
それが『傷寒論』101条の「復た柴胡湯を与えよ,必ず蒸蒸として振い,復た発熱し,汗出でて解す」の意味である。
それならば小柴胡湯に「透表の薬を佐として加えて効果を高め,回復時間を短縮すべきである。」と更に論を進めることが出来る。

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