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桂枝人参湯証

協熱下利案
劉渡舟医案:陳x x,女,19歳。
風寒を外感して已に四五日になり,頭身尽く痛み,発熱悪寒し,大便は瀉を作し,毎日四五回,腹中は綿綿と作痛す。
曽って藿香正気散を服して無効だった。
脈は浮弦にして緩,舌苔は薄白にして潤,此れは太陽病の,外証未だ除かれず,協熱して利し,表裏不解なり,当に桂枝人参湯(党参・干姜・白朮10 炙甘草6 桂枝12)を用いるべし。
先ず理中湯(人参湯)を煮て,後に桂枝を入れ,昼夜三回に分けて温服す,両剤にして愈ゆ。

【解説】桂枝人参湯とは理中湯加桂枝の法なり,理中湯は中焦の虚寒を温補し,桂枝は太陽の表邪を解散し,表裏同治なり。
《傷寒論》に表裏同病を治療する時の原則がある:
一、表裏が倶に実か,表虚裏実なら,先ず虚の表を解表し,後に実の裏を治すべし。一般的な先表後裏である;
二、表実裏虚なら,先ず虚の裏を治し,然る後に実の表を解表すべし,さもなくば表邪が裏に入り病情は復雑化する;
三、表裏倶に弱なら,表裏同治とすべし,桂枝人参湯証は表裏倶虚の病変であるから表裏同病である。表裏治療にあたっては先後をハッキリさせなければならない。

“協熱下利”とは表裏同病の典型的な一例であり,下利が表証の発熱と同時に出現する。
この情況は寒熱虚実の組み合わせにより二種に分れる。
裏熱が下注して下利となり,同時に表実の発熱をする者と,裏寒から下利して同時に表虚の発熱をする者がある。
前者は葛根芩連湯を用い,後者は桂枝人参湯を用いて治療する。
 劉渡舟教授医案精選 より
‥‥‥

勿語薬室方函口訣 に、名古屋玄医の逆挽湯の説明がある。

方函「一二日微熱ありて泄瀉すること数十行、而る後に帯血して裏急後重するものを治す、即ち桂枝人参湯に枳実・茯苓を加えたものである。」
桂枝人参湯に枳実・茯苓を加える者にて、其の手段は逆流挽舟と云う譬えにて、下へをりきる力らのなき者は、一応上へずっと引あげて、はづみを付ければ其の拍子に下だる理にて、虚寒下痢にて後重する者は、桂枝人参湯にて一旦表へ引戻し、其の間に枳実・茯苓にてをし流すときは、後重ゆるむと云う意なり。
凡そ、後重の証に四逆散あり、白頭翁湯あり、大承気湯あり、訶梨勒散あり、桃花湯あり、此の湯あり。
其の後重する所以を弁別して施治すべし。

※中医学では「逆流挽舟」とは裏へ入り込んだ病邪を表から除去する意味ですが、ここでは中医学の意味と異なり“裏急後重”を解消する意味で使っている。表裏同治という概念はまだ無い。

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